中止を求める国内外の世論をよそに開催がほぼ確実となった東京五輪。期間中は首都圏各地で交通規制が敷かれる見込みだが、なかでもドライバーたちから「ふざけるな!」との怒りの声が上がっているのが一律1000円上乗せという前代未聞の首都高速の値上げだ。
実施期間は7月19日~8月9日、8月24日~9月5日と五倫・パラリンピックの期間を含む計35日間。時間帯は各日ともに6~22時で、対象となるのは障害者手帳の所有者が運転・乗車する車両など一部を除く、ほぼすべてのマイカー。しかも、ETC搭載の有無は関係なく、軽自動車や二輪車であっても同様だ。
その一方、0~4時の深夜帯には5割引に値下げされるが、業務用車両ならともかく一般車両でこの時間帯に利用するドライバーはほとんどいないだろう。恩恵を受けられるとは考えにくい。
一連の措置は国や東京都、大会組織委員会が進める「2020TDM(交通需要マネジメント)推進プロジェクト」に基づくもの。東京五輪・パラリンピックの公式サイトには、「7月から9月上旬は例年交通量が多い上に、大会関係車両等の利用が加わることから、何も対策を行わなかった場合、高速道路の渋滞は現況の2倍近くになります(※原文ママ)」と説明。そのうえで首都高を含む、都心部の交通量の30%削減を目標に掲げている。
「ただし、ワクチンなどを含むコロナ関連のニュースに埋もれてしまい、首都高値上げについてはあまり報じられていません。禁止ではなく値上げなので料金さえ払えば通行できますし、仕事の都合でどうしても車で移動しなければならない人も多い。そのため、『それで3割も削減できるのか?』との疑問の声も上がっています」(交通ジャーナリスト)
コロナがなければ協力しようとの雰囲気になったかもしれないが、この状況では世論を味方にできないのは明らか。五輪開催がもはや避けらない状況となった中、首都高値上げが国民の新たな怒りの火種となりそうだ。