巨人が育成の戸田懐生投手と支配下契約を交わした(6月6日)。巨人情報に詳しいプロ野球解説者やディープなファンの間では、戸田は「小気味よい攻めのピッチング」で一目を置かれていたという。
「巨人は育成選手と支配下契約を結ぶとき、その選手が『今、一軍で通用するか?』で判断します。支配下登録したということは、近日中に一軍登板させるつもりなんでしょう」(プロ野球解説者)
しかし、「第2弾がある」との声も囁かれていた。目下、巨人の支配下登録選手数は66人。今回昇格した戸田を含めて、だ。支配下の上限は70人なので、まだ4人も枠が空いている。日本球界復帰を表明した山口俊投手の復帰も時間の問題とされているが、今回の戸田の支配下契約でペナントレース中盤戦以降の原采配も見えてきた。
「三軍(育成選手)にも将来が楽しみな選手がたくさんいます。そのなかでも、投手は『救援タイプなら、戸田。先発要員を補強するなら、山崎友輔』と言われていました」(球界関係者)
山崎も1年目の好右腕だが、戸田が選ばれたことで、「山口俊はチーム復帰後、先発で起用される」と予想されている。また、「山崎は福山大学時代、3日間の遠征試合で400球以上を投げ、ケロリとしていた」という“超タフネス逸話”もあり、「セットアッパーもできる。登板過多の一軍中継ぎ陣の負担を軽減させるため、支配下契約が検討されるのではないか」との声も聞かれた。
戸田を含めた育成契約投手たちの評価を聞いてみると、巨人の育成は順調に進んでいるようだが、こんな指摘もないわけではない。
「戸田の経歴がユニークなんです。四国アイランドリーグプラスの徳島出身、通信制の高校を卒業したとなっていますが、元々は東海大菅生に在籍していたんです。菅生時代から将来を嘱望されていましたが、右肘を故障し、手術をしないで治療に専念するため、転校しているんです。独立リーグ入りも東海大菅生の関係者がサポートしています」(前出・同)
つまり東海大グループの出身ということ。戸田がひと足先に支配下を勝ち取ったのも“大きな期待”が寄せられていたからかもしれない。
巨人のリリーバーは変則や変化球でかわすタイプが多い。攻めのピッチングを身上としているのは、デラロサ、ビエイラといった外国人投手だけだ。経歴同様、ピッチングスタイルも“異色”な戸田の一軍デビューに注目したい。
(スポーツライター・飯山満)