日給1万2200円+αに応募殺到!? 東京「見回り隊」が抱える問題点

「まん延防止等重点措置」の適用を受けた東京都は、4月12日から「徹底点検 TOKYOサポート」プロジェクトと題した飲食店への「見回り隊」による抜き打ち検査をスタートさせた。

 同プロジェクトでは、まず「まん防」対象地域である23区と6市の飲食店を回り、新型コロナウイルスの対策状況を確認。その後、エリアを都内全域に拡大し、約12万店舗を対象に見回りを実施する予定だという。全国紙社会部記者が語る。

「見回り隊は一日200人態勢で、各店舗をチェックし証明書を交付していくことになりますが、なにせ店舗数が半端じゃないですからね。都では13日から『感染防止対策等支援員』として隊員募集を開始し、100人程度を非常勤職員として採用する予定ですが、日給1万2200円にボーナス付きとあって、すでに応募が殺到しているようです」

 応募資格に年齢制限はなく、週4日以内の勤務で、勤務時間は午前10時から午後6時45分まで。隊員は書類と面接で選考され、非常勤ではあるが、有給休暇や社会保険もあり、交通費も1日上限2600円が支給されるという。

 とはいえ、見切り発車で大ブーイングが起こった大阪「見回り隊」の件もあり、SNS上では、《午前10時から午後7時前に見回りして意味あるの?見回るなら午後8時以降やらないと意味ないでしょ》《見回るなら覆面調査でやるべき!お互い揉めたくないから、結局形だけでシャンシャンになりそう》といった批判の声も多く《税金なら、使い放題という考え方をもうそろそろ辞めようよ。費用対効果を考えないと》《結局、嫌な事は全部他人任せで報酬額までもが役人思想。そんな考え方をしてたら感染が収まる訳ない!》という厳しい意見も。前出の記者が語る。

「たしかに大阪の場合、十分な準備もなく始めたこともあり、たとえば、アクリル板やCO2センサーが設置されていないにも拘らず、店側から『いま発注していて明日には届きます』と言われ、そのままチェックしたというケースや、『テーブルはきちんとアルコール消毒をしています』と表示しながら、実はテーブルを拭かずアルコールスプレーだけという店も、そのままスルーしていた、なんて話はゴマンとあります。客目線で見れば店の感染対策の問題点が浮き彫りになるはずなのに、結局、『きちんとやっています』『はい、わかりました』という、お役所仕事になってしまった。東京の場合、さらに店舗数が多いですからね。はたして、十分なチェックが行き届くかどうか……」

 東京都では、手指消毒や換気など20項目をチェックし、点検済みの店舗には証明書を交付するが、非常勤職員は週31時間までというルールがあるため、勤務は月12日から16日。さらに、1日何件というノルマはなく、あくまでも見回りは勤務時間内になるという。

「そもそも論として、時短要請を守り、感染対策をしている店を回って改めて確認することに、どんな意味があるのかという議論があるのも事実。加えて、歓楽街には、反社や日本人以外が経営している店舗もありますから、隊員にはトラブルに対応する能力も要求されます。そんなリスクを、都が民間に丸投げしていいのかという疑問の声も多い。とはいえ、スタートしたからには結果が求められますからね。隊員の皆さんには、一歩踏み込んだ点検を期待したいものです」(前出記者)

 くれぐれも、税金を使って「やっている感」をアピールするうわべだけの検査にならないことを期待したものだ。

(灯倫太郎)

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