騙されるな!「コロナ便乗犯罪」最前線(2)”スマホ副業”に潜む罠

 コロナ悪徳商法に狙われているのは、なにも高齢者ばかりではない。ステイホームのスキマ時間に副業ができるという誘い文句に引っかかってしまった40代の主婦Mさんのケースは─。

「友人から『おいしいナイショのバイトがあるけどやってみない? 月90万円もらえるよ』って紹介されたんです。必要なのはスマホだけ。家事の合間にできるというので、まんまと話に乗ってしまったんです」

 バイトの中身は若者の間で人気のSNS、TikTokの投稿動画にアプリを使って「いいね」をプッシュするだけという簡単なもの。

「登録は金・銀・銅とプラチナの4ステージが選べ、ワンプッシュで稼げる金額は選んだステージにより18〜58円に設定されます。私の紹介者は1日で最大5800円稼げるプラチナステージを選び、夫婦で複数の携帯を使って、月に90万円を稼いでいたんです」(Mさん)

 登録料は最も安い1500円から30万円。Mさんは試しに1日1900円を稼げる「金のコース」に登録するために5万円を入金した。アプリを他の人に紹介して入会させると、より金額がプラスされるというから、ねずみ講方式である。

「開始から2週間であっという間に初期投資額の半分の2万5000円に相当するポイントが貯まりました。ただ、現金化する際に400円の手数料がかかるので、もう少し貯まってからにしようと思っていたんです。今思えば、振込先が個人名だったので怪しかったんですよ」

 そんなMさんの予感は的中する。開始から1カ月も経たずにサイトが突如消滅したのだ。

「アクセスしても『サーバーが見つかりません』という表示が出るだけ。最後に画面を見た時には登録者数は9000人にまで増えていたのですが‥‥。あとで聞いた話では、最近になって最上位のダイヤモンドコースが新設され、50万円もの登録料を支払った人がいたようで、このタイミングでの幕引きを狙っていたのかもしれませんね」

 こうしてMさんの登録料5万円と毎日重ねた「いいね」は水の泡となった。

「こうしたねずみ講はスマホゲームでもあります。『ゲームをするだけで稼げる』といった謳い文句で、3000円ほどで登録させるものの、アイテムを使わなければ得点が稼げない仕組みになっており、結局はゲーム内で課金させるという流れ。そもそもスマホで簡単に儲かる話などあるわけないのです」(井上氏)

 コロナ禍で生活が激変したのは学生も同じだ。社会部記者がその手口を語る。

「ウイズコロナ時代にはリモート就活が一気にスタンダードになりました。エントリーはもちろんのこと、面接や内定式までリモート。実際に顔合わせするのは入社後に初めてという企業も珍しくありません。そんなコロナ禍の就活戦線で活躍しているのが『OB訪問アプリ』なのです」

 5〜6年前から使われ始めたアプリだが、大学のOBに限らず、採用に影響力を持つリクルーターにも会えるという便利さもあり、このコロナ禍で一気に普及したという。

「一方、女子大生にとっては性ハラ被害の温床になっている。リモートとはいえ、2人だけで面会するため、その場で連絡先を交換し、助言を口実に飲み会に誘われて、文字どおり手取り足取りの肉体的指導を受けるケースも。中には、睡眠薬を盛られて乱暴される事件も発生しています」(社会部記者)

 平時には便利なアプリでさえも、コロナ禍では犯罪のツールとなるのだ。

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