大量の漫画を無断で公開し、社会問題となった海賊版サイト「漫画村」が閉鎖されて間もなく3年が経とうとしているが、一時は落ち着いていた海賊版サイトへのアクセスがここに来て急増。昨年12月の上位10サイトへのアクセス数は月間2億を上回り、「漫画村」最盛期の1億7000万アクセスを上回っていたことが明らかとなった
「出版社や通信事業者などで構成される海賊版対策団体『ABJ』によれば、海賊版10サイトの月間アクセス数は2020年1月から大幅に急増したといい、同12月のタダ読みによる推定被害額は349億円で、年間では2114億円に達したそうです。なお、海賊版サイトはほとんどが海外のサーバーを利用したもので、閉鎖させても新しいサイトが次々と生まれ、いたちごっこ状態にあるのです」(社会部記者)
海賊版サイトへのアクセスが急増した原因は、コロナによる巣ごもり需要によるものと見られている。公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所の発表によれば、昨年の紙と電子を合わせたコミック市場規模は6126億円と推定され、5864億で過去最高だった1995年の記録を25年ぶりに塗り替えている。多くの人がコミックの魅力に触れたことにより、無料で漫画の読める海賊版サイトへ流入者も増えてしまったようだ。
「漫画の海賊版サイトへのアクセスを減らすためには、大手出版社のコミックがまとめて全て読めるサブスクリプションサービスを拡大する必要があるのではないでしょうか。というのも、音楽業界は『Spotify』や『Appleミュージック』、映画業界は『Netflix』などの定額見放題サービスが登場したことにより、そのお得感で海賊版サイトが減少したと言われているのです。日本でのサービスは容易ではないかもしれませんが、これ以上海賊版サイトへ人が流れるのを防ぐためにはサブスクが不可欠だと思います」(ITジャーナリスト)
海賊サイト撲滅には出版社の垣根を越えた協力体制が必要なのかもしれない。
(小林洋三)