菜七子に続け!新人ジョッキー古川奈穂&永島まなみの「騎乗力」(1)30点対40点

 持続化給付金の不正受給問題で大揺れのJRAに、明るい希望の星が出現。あの「菜七子フィーバー」から5年、女性騎手が2人同時にデビューしたのだ。話題沸騰、早くも「菜七子超え」の声もあるスター候補生の騎乗力、馬券力を専門家諸氏が徹底「審議」した結果は─。

 3月6日の土曜日、阪神競馬場。レース後の検量室には、昨年に史上8頭目の「無敗の三冠馬」となったコントレイルを預かる矢作芳人調教師の姿があった。

 傍らに立つのは同厩舎に所属し、ジョッキーとしてデビューした古川奈穂(20)。パトロールビデオの映像をのぞき込みながら、矢作師の身ぶり手ぶりを交えた熱心な指導に、真剣な面持ちで耳を傾けていた。

 それもそのはず、この日の古川の乗鞍は5レースで、最高着順が8R(4歳以上2勝クラス・芝2000メートル)の5着。残りのレースは掲示板に乗ることすらかなわなかったからだ。デビューの余韻に浸る余裕はなかったのだろう。

 一方、小倉競馬場でも、新・師弟コンビが、レース後の入念な反省会を行っていた。高橋康之調教師と、古川と同時にデビューした永島まなみ(18)である。

 永島の初騎乗は小倉2R(3歳未勝利・芝1800メートル)。4着に健闘したものの、これが同日騎乗した3レースでの最高成績。各レースごとに映像を見返し検討を繰り返したが、馬券に絡めず、悔しそうな表情がありあり。師匠がその場を離れても、ノートに反省点を細かくメモしていた。

 この日デビューした2人は、中央競馬では藤田菜七子(23)以来、5年ぶりの女性騎手。競馬学校在籍時から、ファンや関係者に知られた存在だった。

 そんな愛弟子に、互いの師匠ははなむけの𠮟咤激励を贈っている。デビュー週の古川に対する矢作師の採点は「30点」だった。

「人に迷惑をかけまいと、気を遣いすぎていた。まったく指示通りに乗れていない。だけど、こんなもんじゃない。彼女はもっとやれる」

 と矢作師が言えば、高橋師もこうエールを返した。

「全体的なレースの感覚は悪くなかった。まだまだ粗削りで改善するところはあるけど、冷静に判断できていたのでは」

 そして高橋師の採点は、

「初日の点数は40点。本人はもっと低い点数をつけると思う。相当、悔しがっていましたから」

 翌7日も彼女たちが馬券に絡むことはなく、レース後の反省会はさらに熱のこもったものになったことは言うまでもない。専門紙トラックマンが言う。

「先輩の藤田はJRAデビュー戦を2着と大健闘。その意味では古川、永島ともに悔しさの残るデビュー週となりました。ただ、初勝利や重賞挑戦など、今後も大きな注目を浴びることは間違いありません」

■永島まなみプロフィール

生年月日:2002年10月27日生(18歳)/出身地:兵庫県/サイズ・血液型:159.8センチ・45.4キロ・A型/所属:高橋康之厩舎(栗東)/趣味:ピアノ、料理/特技:水泳/目標とする騎手:武豊、岩田康誠/好きな芸能人:GENERATIONS、片寄涼太/座右の銘:一生懸命

■古川奈穂プロフィール

生年月日:2000年9月13日生(20歳)/出身地:東京都/サイズ・血液型:154.6センチ・44.8キロ・A型/所属:矢作芳人厩舎(栗東)/趣味:音楽鑑賞、謎解き/特技:水泳/目標とする騎手:武豊、坂井瑠星/好きな芸能人:福山雅治/座右の銘:精神一到

*写真は藤田菜七子

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