維新の会が濃厚接触者のツイートを吊るしあげ!ファクトチェックに批判殺到

 吉村洋文・大阪府知事と松井一郎・大阪市長の母体、地域政党の「大阪維新の会」は2月17日に、ネット上に散らばっている様々な政治に関する言説の真偽を検証する「ファクトチェッカー」を開設するとした。そして26日、ツイッターに立ち上げられた公式アカウントにその第一弾が投稿された。

 その中身は、コロナ感染者に濃厚接触したという男性が、「(自宅待機中に)大阪市の保健所からはついに一度も連絡なし」、「まさに放置状態」と2月12日に行ったツイートが正しいものなのかどうかについて。そしてチェックの結果は、感染拡大によって「(保健所が)積極的に聞き取る」方式から「申し出る受動型」に変えたためというもので、そのツイートの「放置状態」という文言に“事実ではない”との裁定を下したのだった。

 吉村知事はチェッカーの立ち上げについて、ネット上には「維新憎し」のデマが多くあり、「デマの言いたい放題にならないようにしたい」とその意義を語っているが、

「大阪においては府知事と市長、議会の多数派を握る維新の“与党政権”です。もちろんデマはいけませんが、政権が世の中に流布する言説をチェックして回るというのは党派性の観点から問題ではないかという声が上がっています」(大阪市政関係者)

 だが違和感を唱える声はそれだけではない。「政党が個人アカウントを吊るしあげるのはいかがなものか」といった声があがるとともに、「そんなファクトチェックをしたら、投げたブーメランが真っ先に返ってくるのが当の吉村知事と維新なんじゃないのか」との多くの人が思っているという。

「昨年8月4日にわざわざ会見を開いて『イソジンはコロナに効果がある』などと科学的エビデンス・ゼロ発言以来、『イソジン吉村』と呼ばれている当の本人ですからね。2月24日に国会で開催された衆院の内閣員会では、立憲民主の議員が大阪で進められている『大阪ワクチン』について言及。昨年に開発をぶちあげたワクチンについて、吉村知事が11月7日には『大量化する段階』と言ったにもかかわらず、その後、発言が2転3転し、2月20日のテレビに出演した際には『いつ実用化できるかわからない』と話したとしてやり玉に上げられ、『世界中の学者から笑われている』とまで言われてしまいました」(前出・市政関係者)

 大阪ワクチンは民間企業と大阪大学が共同開発中のワクチン。大阪府と大阪市も協定して「大阪発のワクチン」との触れ込みでずいぶんと肩入れしてきた。もちろん最終的に開発できるか否かは今後にゆだねられるが、もともと市場では、海外メジャーが競うワクチン開発で国内の新規ベンチャーが太刀打ちできるのかと疑問視する向きが多かった。国会では、吉村知事の代わりに補助金を付けた厚生労働省が答弁に窮するというトバッチリを受けた。

 さらに言えば、もともと維新は選挙の宣伝に事実と異なる発言が多いとつとに指摘されてきた。大阪都構想の住民投票の際には、「(大阪都になれば)消防車が早く来る」というチラシを撒いて、マスコミからファクトではないと指摘されたこともある。また、日本でファクトチェックを推進するNPO法人の「ファクトチェックイニシアティブ」のHPには、過去に行ったチェックの結果として、松井市長が選挙で「大阪で教育無償化が実現している」と発言したのは「事実でない」と、エビデンスと共に指摘されているのが発見できる。

 まずは自らの発言をチェックしてみるところから始めてみてはどうか。

(猫間滋)

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