要人暗殺の噂も!? 自衛隊のスーパーエリートが集う「秘密特殊部隊」の全貌

 2004年に習志野駐屯地で発足した「特殊作戦群」をご存知だろうか。今年1月にはその初代群長が自衛官に戦闘訓練を指導していたことが共同通信によって報じられたが、そのスーパーエリート集団の実態に迫ると‥‥。

 ゲリラ戦を展開するアメリカの特殊部隊「グリーンベレー」は、「1人で陸軍200人に相当する戦力を保有している」と表現されることもあるが、日本の特殊作戦群はどのような訓練をしているのだろうか。

「当然、訓練内容も公表されていませんが、発足前はグリーンベレーの実践訓練方法や最新鋭の装備品をお手本にしたり、ゲリラ戦の制圧を想定し、狭い建物の中で敵と民間人を見分けて射撃する訓練などの準備を進めていたようです」(自衛隊関係者)

 公にその姿を現した数少ない機会が、18年1月だった。当時の安倍晋三総理とオーストラリアのマルコム・ターンブル首相が、自衛隊の習志野駐屯地を視察するという異例の機会があったのだ。そこで、オーストラリア製の装備品を案内したのが、ほかならぬ「特殊作戦群」の隊員だった。社会部記者が明かす。

「この日は、豪州製の通称『ブッシュマスター』と呼ばれる輸送防護車MRAPの説明に両首脳が聞き入るばかりか、実際に車両に乗り込むなど、かなり具体的な対テロ即応の解説があったようです。日本のテロ脅威やミサイル迎撃のPAC3を紹介しつつ、その戦略について、突っ込んだ議論があったようです。ただ報道陣はシャットアウト。ここでも訓練内容を知ることはできなかった」

 実はこの日、豪首脳の視察からさかのぼること3年前に、特殊作戦群の活動の一端が明らかになる事件が発生している。15年8月、沖縄県うるま市の沖合で、米陸軍ヘリコプターが墜落する事故が起きたことがあった。

 当時、アメリカの陸軍特殊部隊隊員がヘリコプターから降下し、武装勢力に乗っ取られた船を制圧し、奪還する想定で訓練を行っている途中、乗組員7名が負傷。そのうち2名は特殊作戦群所属の隊員だったことが判明すると、防衛省は米特殊部隊の作戦、訓練を学ぶ「研修」の一環として搭乗したと説明している。

 それから約2年後、共同通信は米軍事故報告書を入手したとして、こう報じたのだ。

〈米艦船へのロープ降下訓練に臨む際、回転翼が艦首マストに接触し、コントロールを失った。報告書の写真では機体上部が原形をとどめておらず、危険な訓練だったことをうかがわせた。(中略)約200ページの報告書は「多国籍」の訓練とし、陸自を含めた同乗者12人を「戦闘装備部隊」と一体で表現。防衛省は陸自2人の武器所持と訓練参加を否定し、「研修」として見学したと説明しているが実態は不明だ〉

 記事にあるとおり、隊員が「参加」していたかはわからないが、特殊作戦群が今後、訓練に導入しようとしていたならば、相当厳しい非常事態を想定し、シミュレーションをしていたのではないだろうか。

 それにしても、全貌がどれもこれも秘密すぎて、「海外の要人暗殺」まで訓練しているのではないかと、まことしやかに噂されていた。その件について、事情を知る軍事関係者に聞いてみると、

「誰が群長に就くかで訓練内容は変わっていると聞くけど、特殊作戦群の中には、北朝鮮による拉致被害者奪還の訓練すら許可してもらえず、辞めていく人もいる。それなのに、要人の暗殺をするような訓練なんてするわけがない」

 映画や小説に出てくるような特殊部隊とはいささか違うようだ。

 実際、特殊作戦群が活動した様子を見てみると、イラク復興支援活動に警備要員として派遣され、06年11月末に陸上幕僚長から第2級賞状を付与されている。

 それ以外では、16年5月に開催された主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、警察庁が要人警護や交通規制にあたる警察官、約2万3000人を配置。さらに陸上自衛隊はテロに備えて「特殊作戦群を待機させている」と言われていたが、あくまでも噂レベルに過ぎなかった。

 それならば、来るべき有事に備えて、訓練の日々を送っているのか。軍事関係者は意味深にこう口を開く。

「特殊作戦群は創設以来、何もしてこなかったわけではない。メディアが『最強部隊』と呼ぶ人たちをリスクの高い場面でこれまで活用していないのかというと、ただ公表していないだけ、ということです」

 国民が知らぬところで秘密裏に動き出し、危険な任務を遂行しているのだろう。

 一方、陸上自衛隊の隊員にとって憧れの存在でもある特殊作戦群だが、歴史が浅い「異分子」を認めない動きもあるのだとか。

「一般の部隊は小隊長、中隊長、大隊長とどんどん報告を上げていきますが、特殊部隊も同じ仕組みだと、特殊作戦の指示を待っている間に任務を失敗してしまう可能性が高い。アメリカの特殊部隊はシチュエーションルームに主要メンバーの幹部が集まり、現場と動画で全部つなぐ。途中の中間管理職を飛ばして、大統領が直接『撃て』『撤退しろ』と指示を出します。そこが大事なポイントで、日本の場合、中間管理職にしてみれば面白くないんです。報告も上がってこなければ、自分より下の階級の特殊作戦群の隊員が、政治的責任をとれる指揮官の直轄で指示を受けて動いてしまう。それで風当たりが強くなることもあるのです」(軍事評論家・潮匡人氏)

 そこは一般企業と同じ組織のロジックが働いているようだ。いかに過酷なレンジャー訓練に耐えてきたスーパーエリートでも、人間関係には頭を悩ませているようである。

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