ふんどし一丁の男祭り、日本一危険な火祭りも…冬の奇祭がコロナ禍で続々中止

 年によって時期は異なるが毎年1月下旬〜2月中旬に迎える旧正月。今年は2月12日がその日だが、中国や台湾などの中華圏と違って日本の一般家庭で祝う習慣はない。

 ただし、昔からの名残りでこの時期には全国各地でさまざまなお祭りが開かれる。なかでも冬場のこの時期は奇祭と呼ばれる変わった内容のものも多いが、今年は新型コロナの影響でほとんどの祭事が中止となっている。

 そうした冬の奇祭でもとりわけ有名なのが、日本三大奇祭のひとつにも数えられる蘇民祭。岩手県奥州市の黒石寺で夜通し行う祭りだが、参加する男性は氷点下の山中で一晩中ふんどし一丁姿。事前登録は必要だが、地元民でなくてもOKとのことで、毎年全国から参加者が集まる人気の奇祭だ。

 同じく冬の東北を代表する奇祭として知られているのが、秋田県美郷町の六郷のカマクラ(写真)。5日間にわたって開かれる祭りだが、最大の見せ場は二手に分かれた住民たちが丈の長い竹で互いを叩き合う「竹うち」。参加者は安保闘争時代のデモ隊を思わせるようなヘルメット姿で、こうした祭りの荒々しい雰囲気なども観光客からは好評だ。

 そして、愛知県西尾市の鳥羽神明社が会場の鳥羽の火祭りは、“日本一危険”とも謳われている。祭りのクライマックスでは、業火に包まれた「すずみ」と呼ぶ巨大な松明からご神木を取り出すために男たちが何度も飛び込む。まさに命がけで、祭りの間は地元消防署の職員が完全装備でスタンバイしている。

 ちなみにこれらは冬に行われる奇祭のほんの一部。全国にはまだまだ数多くの個性的な祭りが存在する。本年度の開催が中止されるのは今の状況を考えれば仕方のないことだが、こうした祭りによって季節の訪れや節目などを実感する人が多いのも事実。

 来年の開催については今後次第だが、昨年から2年連続で中止になっている祭りも少なくない。次こそは再開できるように1日も早いコロナの収束を祈るばかりだ。

(高島昌俊)

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