コロナ禍の外出自粛要請の影響で、オークションや通販など、ネットを介した商品の取引がすっかり定着した昨今。おなじみの「Amazon」や「ヤフオク」、「メルカリ」では扱われないような、意外な商品のニーズが拡大しているという。
「主な取引の舞台になっていると言われているのがアメリカの『ebay』というオークションサイト。簡単に言えば『ヤフオクの世界版』ともいえる存在で、利用者数は1.8億人(ヤフーが1800万人)、出品数は常時14億点と、まさに世界規模。そのため扱われている商品も日本では手に入らないアイテムも多く、最近では『呪いの人形』なども人気を集めているそうです」(海外のオークション事情に詳しいライター)
なるほど、同サイトで「Haunted Doll」(おばけ人形)のワードで検索してみると、1万円程度から10万円を超えるような高価な「呪われた人形」が出てくるが……。
「50年以上前の少女の霊が宿っているという人形や、ポルターガイスト現象を起こす人形、さらには、超ポジティブなLGBT男性の魂が憑依した人形など、普通なら敬遠されそうなワケありドールばかり。それぞれに『呪われたヴィンテージ・アンティーク・ドールです!購入者、要注意』とか『この人形が我が家に来てから不吉なことばかり起きています。とにかく手放したいのでよろしくお願いします!』といった説明書きが添えられています。時々日本からも『呪いの藁人形』が日本円にして3000円ほどで出品されていて、これもなかなかの人気のようです」(前出・ライター)
オカルト事情に詳しい雑誌編集者によれば、「過去に取材で聞いた話」として、こんなエピソードを打ち明ける。
「なかには呪いを本気で信じている人もいて、いわくつきの人形を別れた恋人や嫌いな同僚の家に送りつけたり、姑のイビリに悩む女性が姑の寝室にこっそり仕込んだりといったケースがあるそうです」
持つ者に不幸をもたらす人形といえば、「チャイルド・プレイ」や「アナベル 死霊館の人形」などホラー映画の題材にもなったが、あながちフィクションで片づけられない部分もあるという。
「実際、映画『チャイルド・プレイ』のチャッキーにはモデルとなった逸話があり、それが『ロバートの人形』。これは、20世紀初頭、ロバート少年が祖父からドイツ旅行のお土産としてプレゼントされたもので、大人になってもこの人形を大切にしていたそう。ところが、彼が亡くなった後、人形を受け継いだ持ち主が次々と事故や怪我に見舞われ、最終的にはアメリカ・フロリダ州の博物館に寄贈されたという話ですからね。また、そういった事情で博物館に持ち込まれる人形は後を絶たないと言われており、厳重に展示されていると聞きます。そう考えると、面白半分でわざわざ海外から呪いの人形を取り寄せて、万が一、何かしらの不幸が起きても、日本では管理を任せられる施設も団体もなく、結局は廃棄して大損という結果にもなりかねないでしょう」(前出・ライター)
日本では今、「事故物件に住んでみた」といったルポルタージュが映画になるなど、実話をベースにしたオカルト動画はYouTubeでもテッパンのネタとも言える。「呪いの人形と1カ月暮らしてみた」なんて動画を配信すれば注目を集めるかもしれないが、これまでにも世界的に科学では解明できないような不思議な現象が起こっているのも事実。目的は何であれ、購入は控えたほうがよさそうだ。
(灯倫太郎)
※写真はイメージです