巨人に15年ぶりとなる「帰還」を果たした桑田真澄投手チーフコーチ補佐の発言に対し、捉え方が大きく異なっている。
球界のご意見番・張本勲氏が就任会見での「我々の時代はたくさん走って、たくさん投げろという時代だった。自分が投げているフォームをすぐにコマ送りで見られる時代」なる発言を指して、「徹底的に練習させなきゃダメだ!」とテレビ番組内で憤怒していた。
しかし、巨人選手やその関係者たちは真逆な捉え方をしていた。「猛練習になるのではないか」と…。
「桑田コーチの現役時代を知っている、あるいは、当時のエピソードを聞かされているからですよ。ジャイアンツ球場の外野フェンス付近の芝生がはげており、地面がむき出しになっています。有名な『桑田ロード』で、とにかく、現役時代の桑田コーチは時間があれば、走り込みをしていました」(球界関係者)
桑田は東京大学野球部の特別コーチを務めていたころ、正しい投球フォームについて理論的に説明していた。だからこそ、その場ですぐに映像で確認できる“ハイテク指導”について言及していたが、人一倍、練習を積み重ねてきた投手でもある。自分に厳しく、絶対に妥協しない性格で、「コーチ」の肩書を持ったとなれば、若手に対し、妥協や手抜きは絶対に許さないはず。むしろ、走り込みなどの練習量は増えるとの見方もされていた。
「むやみに練習量を増やすのではなく、走り込みなどの練習がなぜ必要なのかを説明し、納得させたうえでやらせるのでは…。桑田コーチは『量よりも質』と言いましたが、質の高い練習をたくさんやらせると思います。以前、片岡篤史さんのYouTubeに出演した際にも『20歳から25歳くらいまでの選手は(練習を)たくさんやらせる』と語っていました」(前出・球界関係者)
理論派といっても、練習量は減るどころか増えるというのが、現場の解釈だ。筑波大学で動作理論を学んだ工藤公康監督もそうだが、就任後、ソフトバンクの練習量が減ったという話はいっさい出てこない。
「阿部慎之助二軍監督は『昭和のモーレツ練習で行く』と言いました。阿部二軍監督もやみくもに練習量を増やしたわけではありません。桑田コーチと意気投合するのでは…」(ベテラン記者)
二軍本拠地でもあるジャイアンツ球場に今も残る桑田ロード。その周辺にはキツい石階段もあり、期待の若手が徹底的に追い込まれるシーンを目撃する機会は増えそうだ。
(スポーツライター・飯山満)