事務所は辞めてもレーベルは辞めない?電気グルーヴとソニーの関係とは

 電気グルーヴの石野卓球が、所属事務所を辞めると宣言だ。4月18日の朝に「もう事務所は辞める」とツイートしたもの。同じ電気グルーヴのピエール瀧が薬物関連で逮捕されて以来、卓球は一貫して瀧被告を応援するツイートを発信してきたが、所属事務所であるソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)は瀧被告が起訴された4月2日にマネジメント契約を解除したと発表。そのため現状では卓球のみがSMAとの契約下にある状況となっている。

 その一方で卓球は「レコード会社はバックタイトルいじれなくなるからやめないけど」ともツイート。電気グルーヴの所属レーベルはソニー・ミュージックレーベルズのキューンミュージックであり、こちらもソニーグループとなっている。そんな卓球の発言について音楽ライターが指摘する。

「このツイートを受けてファンの中には、ソニー系列の所属事務所だけを辞めてレーベルとの契約は続けるということができるのか、という疑問が浮かんでいます。SMAとキューンはいずれもソニーの100%孫会社であり、キューンから作品を出し続けるなら瀧のように不祥事で契約解除されない限りは、所属タレント側から辞めることはできないと考えるのも当然でしょう。ただ結論から言うと、卓球がSMAを辞めることは可能ですし、辞めたからといってキューンから契約見直しを迫られることもないはず。一般企業であればちょっと考えられないでしょうが、音楽業界では決して珍しいことではないのです」

 素人考えではソニーレーベルから作品を発表しているアーティストは、個人事務所を例外とすれば、SMAなどソニー系列の音楽事務所に所属していそうなもの。だが実際には、レーベルと事務所は決して不可分の関係ではないという。音楽ライターが続ける。

「たとえば木村カエラは、モデルとしてSMAに所属していた04年にアーティストデビューしていますが、レーベルは日本コロムビアでした。その理由はSMAの担当者がソニーレーベルに木村のデビューを打診するも『モデルだから無理』と断られたため。ほかにもSMA所属では氣志團や東京スカパラダイスオーケストラがエイベックスですし、サンボマスターはソニーからビクターに移籍するなど他社レーベルのアーティストは少なくありません。その反対にYUKIは17年にSMAとの契約を円満に終了しましたが、作品は引き続きソニー系列のエピックレコードジャパンからリリース。それゆえ電気グルーヴも同様のスタイルを取ることになりそうです」

 ともあれキューンからリリースされた電気グルーヴの旧譜については、現在は在庫を回収しているものの、廃盤になる恐れはなさそうだ。

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