表裏一体とはよく言ったもので、我々が住む世界と裏社会は地続きでつながっている。当然、裏側もコロナ禍の影響は甚大。アウトローたちはアノ手コノ手で生き残りを模索している。
感染拡大で、最も不安を抱えているのは飲食店業界だろう。行政の時短要請で客足は遠のくばかり。そんな飲食店から「用心棒代」を取るヤクザたちも死活問題を抱えている。ただ、彼らはタダでは転ばない。広域組織関係者によると、「新手のみかじめ集金システムが台頭する」という。アウトロー関係者が明かす。
「みかじめ料の対価として物品を置いていくのは一般的になったが、それでは共倒れになってしまう。これからはウインウインの関係にならないと。一部の組織では、みかじめを取るのではなく、店舗の空間洗浄を始めている。室内のウイルスを除去できるという機械を置いてもらって、それに取り付けるカートリッジ式の薬液を毎月交換に行くんだ。こっちは薬液代をいただきつつ、店もウイルスのない店内で客に安心してもらおうという寸法だ」
なんとも手の込んだヤリ口だが、それは詐欺師も同じ。こちらはコロナ不安を悪用しようと躍起になっていた。例えば、新型コロナワクチン。日本では2月に認可の見込みだが、
「その前に接種したいという強欲な金持ちはいるもんだ。そういうヤツらに巧みに近づいて、金だけもらうコロナワクチン詐欺が横行するだろう。認可が降りても、最初は医療従事者が中心に接種していくだろうから、年寄り相手の振り込め詐欺にも応用は可能。『父ちゃんは糖尿持ちだから、受けてほしいんだ。特別なルートで接種できるからお金を用意して‥‥』なんて話を掛け子(電話してダマす担当)が持ち出してくる」(前出・アウトロー関係者)
次もコロナ詐欺の一種だろう。関西在住の会社員男性が被害を訴える。
「昨年末、マッチングアプリで援助交際したんです。いや、したつもりだったんです。ホテルに行ったまではよかったけど、キスしたとたんに女が騒ぎだした。『何すんねん、コロナにうつってまうやん』って。面倒くさいから金だけ払って、外に出たら怖いお兄さんが待っていて、『こら、どないすんねん』と言われて‥‥。『コロナ美人局』、今年は全国に蔓延しますよ」
コロナ禍にあって活発なのは詐欺師だけではない。不良ベトナム人も同様である。技能実習生として来日して、在留期間を過ぎても日本に居座る。昨年、そんなベトナム人の家畜窃盗がニュースとなった。今年はベトナム人同士の抗争が勃発する可能性がある。裏社会や外国人犯罪に詳しいジャーナリストの丸山ゴンザレス氏が警鐘を鳴らす。
「不良ベトナム人は違法賭博をする同胞、違法ビザを所持する同胞を脅して金を奪うなど、在日コミュニティ内での犯罪が増えています。要は被害を訴えにくい相手を選んでいるのです。この傾向は今年も続き、過激化するでしょう」
在日ベトナム人の増加は著しい。法務省出入国在留管理庁が発表したデータ(20年6月)によると、19年末に比べて2.1%増加。コロナの影響など関係なく、上位10カ国の中で唯一の増加となった。「不良ベトナム人は組織化されつつあり、一部は大金を持っている」(前出・アウトロー関係者)というから、抗争は避けられそうにない。
一方、今年の日本人の犯罪グループでは、「素人強盗団が跋扈する」と前出・丸山氏は憂える。
「昨年10月に、人気艶女優が住む高級マンションから現金600万を持ち去った事件がありました。少年3人による強盗でしたが、実行犯はアマチュア。金に困っている人を『犯罪リクルーター』がSNSで探し、ブッキングするんです。最近はコロナ禍で困窮者が増加したせいで、実行犯を選べる時代になっています」
犯罪にもコロナが暗い影を落としているのだ。
※「週刊アサヒ芸能」1月14日号より