今季、2005年以来となる16年ぶりのリーグ優勝を目指す矢野阪神。開幕を前に「21年の巨人打線は要注意」と警戒を高めてきた。対巨人戦は9年続けて負け越しており、リーグ優勝を果たすにはこの宿敵を何としても倒さなければならない。そのために対策を講じているのだか、そこで出てきたのが、FAで巨人入りした梶谷隆幸外野手は「要注意」という声だった。
「梶谷が加わった巨人打線はちょっと厄介だという話が出始めました。梶谷は対阪神戦の打率成績がもっとも高いんです」(球界関係者)
昨季、梶谷は対阪神戦で3割5分7厘の高打率を残している。セ5球団との対戦で、もっとも相性が良かったのも阪神戦だ。しかも、先発陣では青柳晃洋が11打数8安打、高橋遥人も7打数3安打と打ち込まれており、クローザーのスアレスも被打率3割3分3厘と苦手意識を持っているようだ。
「巨人戦24試合での失点は103。梶谷の古巣であるDeNAからは105失点を食らいました。単純計算で、梶谷が阪神戦で稼いだ『10打点』が巨人にそのまま移るとなると厄介かもしれません」(前出・球界関係者)
対照的に、西勇輝は9打数無安打と梶谷を完全に封じ込めている。また、対巨人の20年シーズンの防御率は1.77と、他セ5球団のなかでもっとも高い数値を残している。西が優勝のキーマンとなりそうだが、こんな指摘も聞かれた。
「20年シーズン、西、高橋の2人が巨人から3勝ずつを挙げました。ただ、高橋は吉川尚、丸、亀井、中島に打ち込まれており、巨人側は苦手意識を持っていないようです」(ベテラン記者)
西に何かあったら、全ては台無しだ。それを補うのが、韓国球界で20勝を挙げたラウル・アルカンタラであり、同じく本塁打と打点の二冠王に輝いたメル・ロハス・ジュニア、日米通算95勝を挙げたチェン・ウェインということになりそうだ。
「10年連続の負け越しだけは避けたいということでしょう。巨人はかねてから初物に弱いと言われているので、大型補強で1勝でも…という狙いでは」(解説者)
梶谷が加わった巨人打線を阪神投手陣が警戒するのもわかるが、巨人からすれば、3人も新たな外国人選手を加えた阪神もまた脅威に見えるかもしれない。両チームの心理戦はすでに始まっているようだ。
(スポーツライター・飯山満)