最悪の事態に備えるのは、当然のこと。原巨人は菅野智之の“米球界流出”を前提とした投手陣の割り振りを始めていた。しかし、菅野の決断次第で、支配下復帰か、育成のままか、結論待ちの投手もいた。
「来季、エースとして扱われるのは戸郷。他の先発枠はサンチェス、メルセデス、畠、今村、高橋、井納、田口、新人の平内で争われます」(球界関係者)
戸郷翔征投手はプロ3年目、20歳で開幕戦を迎えることになりそうだ。キャリア不足が心配だが、精神的な強さを称賛する声も少なくない。しかし、問題は2番手以降のようだ。
「宮本和知投手チーフコーチは高橋優貴を推しており、今村信貴の成長を認める声も各方面から出ています。新人の平内龍太投手は大学4年の春季リーグ戦の前、肘にメスを入れています。慎重に使っていくとされ、サンチェス、メルセデス、畠らはシーズンを通して先発ローテーションを守ったことがありません」(スポーツ紙記者)
先発陣への不満は、首脳陣も共有しているそうだ。そんな先発陣をカバーするのがリリーフ陣だが、大竹、鍵谷、高梨、中川、大江は計算に入れている。ただ、年齢的な理由もあって、「大竹がフルシーズン投げられるのか?」との声が周囲から聞こえるなど、こちらにも不安要素があり、リリーバーの経験があって計算の立つ投手となると、高木京介しかいない。高木は股関節の故障で今オフ、支配下登録を外されている。
「もし、菅野が残留するのなら、高木には無理をさせません。戸郷をエースに置くローテーションとなれば、リリーバーは一人でも多くほしいところ。高木の支配下復帰の時期が前倒しとなるでしょう」(前出・関係者)
まさに、菅野の結論次第だ。右の中継ぎも大竹の状態、外国人投手の出場登録によっては、鍵谷一人という試合も出てきそうだ。先発争いから脱落した誰かがコンバートされる可能性もあるが、高木京介の復活が2021年のキーポイントとなりそうだ。
高木が育成枠で再契約したのは、昨年12月9日。国内FA権を行使した梶谷隆幸、井納翔一両選手の巨人入団会見は同14日だった。Bランクだった梶谷の獲得にともない、プロテクト名簿もDeNA側に提出された。
「投手陣を大量に名簿入りさせ、さらに高木を守るため、人的補償の対象外である育成に落としたのかもしれません」(スポーツ紙記者)
プロテクト名簿の件は邪推だとしても、菅野流出後の巨人投手陣は総動員で凌ぐということになりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)