住宅大手の大和ハウス工業が4月12日、建設した戸建てや集合住宅の2000棟以上で耐火性などが建築基準を満たしていなかったことを発表。これを受け週明け15日の東京株式市場での株価は一時3106円まで大幅に下落し、年初来最安値を記録するなど波紋を広げている。
「何より脅かされると同時に呆れたのは、発覚したのが3年前の内部通報だったということ。会見ではその間、『社内調査を進めていた』と説明していますが、なぜ公表がここまで遅くなったのか、まったく理解できません」(建設業界関係者)
住宅業界では昨年、レオパレス21で物件の施工不良が明らかとなり、退去を迫られる住人が続出。対処が今年3月の引っ越しシーズンと重なり大混乱を招いたばかり。そのためネット上では《他の業者がやっていないわけがないと思ってしまうが…》や《以前建材メーカーに勤めていたけど、大手住宅メーカーの手抜き工事はどこも本当にひどい》など、業界全体に対する疑心暗鬼の声まで出る事態となっていた。
「業界の中では、大和ハウスの品質は良い方だと言われていたことから、じゃあ他のメーカーはどうなんだとなるのは当然の話。大和ハウスは3年間、レオパレスに至っては内部で問題になってから発覚するまで20年かかったという話まである。両社に共通するのは、ここ10年で事業を拡大し急成長を遂げている点で、そうした中、住宅供給が追いつかない状況を招き末端までの目配りがおろそかになってしまった可能性はあります。要は、身の丈に合わない商売を続けていたということでしょう」(同)
今後、またぞろ同様の問題が噴出しないことを祈るばかりだ。
(小林洋三)