存在感はガンダム以上!? バルセロナ郊外に建つ巨大マジンガーZ像の謎

 横浜・山下ふ頭で12月19日に開幕した「ガンダムファクトリーヨコハマ」。22年3月末までの期間限定の営業ながら“等身大の動くガンダム”が展示されているとあって地元の新名所として大きな注目を集めている。だが、その横浜から1万キロ以上離れたスペインの地にガンダムと並ぶ、大人気ロボットアニメの巨大像があることを知っているだろうか?

 それは72〜74年に放映された永井豪原作の「マジンガーZ」。場所はバルセロナの南西80キロの海沿いに位置するタラゴナという街。現在は人口13万人ほどの地方都市だがローマ帝国の時代から栄えてた古都で、市内には円形競技場や水道橋など当時の遺跡が数多く残っており、世界遺産にも登録されている。

 マジンガーZ像があるのは、市の中心部から少し離れた郊外の住宅街の公園。約10メートルと設定上のサイズよりは小さいが、それでもビル3〜4階に相当する高さ。さすがにこちらの像は動かないが、アニメでもよく見かけた、おなじみの両腕を突き上げたポーズで、存在感と迫力は横浜のガンダムにも負けていない。

 しかし、なぜこんな場所にマジンガーZ像が作られたのだろうか?

 実は、「マジンガーZ」はヨーロッパ各国でも放送され、絶大な人気を誇ったアニメ。今でこそジャパニメーションとして世界中に輸出され、海外でヒットしている作品も多いが、その先駆けになったアニメのひとつが同作。スペインでは日本の30.4%を大幅に上回る最高視聴率80%を叩き出した、まさに国民的アニメと言うべき作品なのだ。

 この像は1983年に住宅街や公園を造成した不動産会社が建てたもの。当初は像の内部に入って登れる構造になっており、上から周囲の景色を見渡すことができたという(※現在は立入禁止)。

 かつて現地を訪れた際、筆者が像について住民に尋ねると「昔からあったから特に気にすることはないけど、こういう街のシンボルがあるのは誇らしいことだよね」とまんざらでもない様子で語っていた。ヨソ者にとっては違和感しかないが、地元の人にはマジンガーZ像があるのが当たり前の風景なのだろう。

 もしコロナ収束後にバルセロナを旅行する機会があれば、そこから少し足を延ばして立ち寄ってみるのもいいかもしれない。

(高島昌俊)

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