労基署が立ち入り調査!勤務記録改ざんで発覚した「富士そば」のブラック業態

 実際には働いていた従業員に対し、休日として申告するように強要していた問題で、立ち食いそばチェーン「名代富士そば」を運営するダイタンホールディングス(以下HD)に労働基準監督署が立ち入り調査をしていたことが、12月14日の「共同通信」の報道で明らかとなった。これを受けて厚生労働省も「富士そば」の店舗を運営するグループ8社を対象に調査していると発表している。

「11月13日には『富士そば労働組合』に加盟する店長ら18人が会見を開き、過去2年分の未払い残業代など約2億5000万円を求める労働審判を申し立てしたことを発表しました。労組によれば、月200時間を超える残業をしても役員の指示で勤務記録が改ざんされたといい、また従業員が勤務した日を雇用調整助成金の対象となる『特別休暇』に書き換えるよう指示していたことも明らかになっているのです」(社会部記者)

 残業代を支払わないどころか雇用調整助成金を不正受給していたことが報じられ、ネット上では厳しい意見が殺到。特に「富士そば」の創業者で、ダイタンHDの会長である丹道夫氏はことあるごとにメディアで「ブラック企業は損をしている」「成果主義はやらない」などと発言し、ホワイト企業であることを強調してきただけに、《富士そばは隠れブラック企業だった》などといった批判も寄せられている。

「実際、かつての『富士そば』は超ホワイト企業として知られており、パートやアルバイトにまでボーナスや退職金を支払っていたことでも有名でした。しかし、15年にダイタンHDの社長を息子の有樹氏に譲った頃から出店数が急激に増え、従業員への対応も変わっていったと言われています。また、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの普及によって、これまで主に都心への通勤客に支えられてきた『富士そば』は売上が激減。そこにきて、残業代の未払いや雇用調整助成金の不正受給の発覚ですからね。今後の対応に注目が集まりそうです」(経済ジャーナリスト)

 これまで安くて美味いそばを提供して、サラリーマンの味方と言われた「富士そば」が、ブラックな業務内容を指摘されては、イメージダウンは避けられないかもしれない。

(小林洋三)

ビジネス