140円で1035.4キロの列車旅!大晦日「終夜運転」で出かける“超大回り”を徹底解説

「初詣の混雑を避けてもらうための工夫を」

 東京都の小池百合子知事がこう呼びかけたのは12月16日。この日、小池知事は神奈川、千葉、埼玉の知事と連携を取って、首都圏の鉄道会社に大晦日の「終夜運転」を中止するよう要請した。このニュースに一部の鉄道ファンから悲鳴があがっているという。

 以前、本サイトで紹介した、首都圏や関西圏など全国5か所のJRの「大都市近郊区間」と呼ばれるエリアで使える“大回り”と呼ばれる乗車の裏ワザ。これは同一エリア内に限り、どんなに遠回りしても同じ駅・区間を通らなければ運賃は最短距離で計算されるというものだ。

 例えば、この方法を使うと首都圏なら140円きっぷで700キロ以上の移動が可能なわけだが、大晦日〜元日に限定すれば、1035.4キロの“超大回り”が可能となる。なぜそんなことが可能かというと、12月31日深夜〜1月1日早朝にかけてJRは首都圏の一部路線で終日運行を行うからだ。

 きっぷは「途中駅で改札を出なければ、始発〜終電まで有効」なため、首都圏の大都市近郊区間は事実上2日間使えるのだ。

 この1035.4キロの最長ルートの出発駅と最終到着駅は、常磐線の新松戸駅〜馬橋駅(どちらも千葉県松戸市)。本来なら1.6キロ、わずか2分で到着する距離だが、超大回りでは以下のルートで目的地に向かう。

《新松戸駅〜[常磐線]〜友部駅〜[水戸線]〜小山駅〜[両毛線]〜高崎駅〜[高崎線]〜大宮駅〜[川越線]〜高麗川駅〜[八高線]〜八王子駅〜[横浜線]〜橋本駅〜[相模線]〜茅ヶ崎駅〜[東海道線]〜大船駅〜[京浜東北線・根岸線]〜鶴見駅〜[鶴見線]〜浜川崎駅〜[南武線支線]〜尻手駅〜[南武線]〜川崎駅〜[東海道線]〜品川駅〜[横須賀線]〜武蔵小杉駅〜[南武線]〜立川駅〜[中央線]〜西国分寺駅〜[武蔵野線]〜武蔵浦和駅〜[埼京線]〜赤羽駅〜[京浜東北線]〜南浦和駅〜[武蔵野線]〜西船橋駅〜[総武線]〜千葉駅〜 [成田線]〜松岸駅〜[総武本線]〜成東駅〜[東金線]〜大網駅〜[外房線]〜安房鴨川駅〜[内房線]〜蘇我駅〜[京葉線]〜東京駅〜[総武線(快速)]〜錦糸町駅〜[総武線(各駅)]〜秋葉原駅〜[山手線]〜神田駅〜[中央線]〜新宿駅〜[山手線]〜日暮里駅〜[常磐線]〜馬橋駅》

 利用路線や乗り換え駅があまりに多く、気の遠くなる長さだ。ただし、これはあくまで最長ルートであって、その通りに乗る必要はない。そもそも鉄道ファンでも実践する者はごく少数で、大半は時刻表などで時間を調べて「こんなルートも可能だな」と妄想旅を楽しんでいる人たち。

 いまだ大晦日の「終夜運転」については実施されるかどうか不透明なうえ、ご時世的に「ぜひ試してみては!」とは言えないが、年に一度しか使えない裏ワザがあるということを知ってもらえれば幸いだ。

(高島昌俊)

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