「IKEAカタログ」70年の歴史に幕、廃刊決定の理由とは?

 スウェーデン家具大手のイケア(IKEA)が1951年から70年にわたって毎年刊行していた商品カタログを廃止することを明らかにした。今年10月に刊行した2021年版が最終号となるが、ネット上では歴史ある商品カタログの廃止を惜しむ声が相次いでいる。

「イケアの商品カタログは世界32の言語に翻訳され50の国や地域で読まれており、16年のピーク時には2億部が刊行され、シリーズ累計5億部を販売した『ハリー・ポッター』シリーズに匹敵すると話題にもなりました。しかし最近では、同社のオンラインショッピングを利用する人が増え、カタログ読者が減ったことから、廃刊が決定したといいます」(ITジャーナリスト)

 なお、最終号となる21年版の発行部数は4000万部となり、最盛期と比べて4分の1以下にまで落ち込んでいるという。イケアの商品カタログ廃止についてネット上では、《コーヒーやお茶でも飲みながらこの手のカタログをペラペラやるのが好きなんだけどな》《欲しいもの、買うものにチェックを入れながら楽しむ時間がなくなるのかー》《イケアのカタログなら有料でも絶対買うのに…》《時代の流れとコスト削減なんだろうけど、本当に残念だ》といった声が数多く寄せられている。

「コロナ禍ということもあり、イケアのオンラインストアは前年と比べ45%も売上が伸びていることからも、紙のカタログを見る機会が減るのは当然の話。世界50カ国で4000万部を発行するとなると、カタログの制作、翻訳、流通とかなりのコストを要するため、デジタルへのシフトは仕方ないのではないでしょうか。ただ、来年からは小規模の冊子を発行するとのことなので、イケア好きの方はそちらを読んでみてはいかがでしょうか」(前出・ITジャーナリスト)

 紙文化も大切にしたいところではあるが、やはり時代の流れには逆らえないということか。

(小林洋三)

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