バイデン政権で進む麻草の合法化、禁止薬物からアルコールと同等の扱いに!?

「麻が酒と同じ扱いになる」

 アメリカ大統領選でバイデン候補が勝利したことでこの見方は衆目の一致するところとなっている。

「バイデン氏の民主党はかねてから麻草の解禁に熱心で、副大統領になるカマラ・ハリス上院議員もそれは同じ。ただ、バイデン氏は違法薬物には厳しい態度で臨むタイプなので、合法化ではなく『非犯罪化』になるとみられています」(週刊誌記者)

 民主党はすでにいくつかの関連法案を議会に提出していて、その中でも通称「モア・アクト」と呼ばれる法案はコロナ対策で審議先送りになってはいるが、対する共和党の賛同を得ているので下院で可決される見通しにある。

「この法案では、麻は他の禁止薬物と同じく最も規制が厳しい『スケジュール1』に指定されているものを、アルコール飲料と同じ扱いにしようというものです。アルコール飲料ですから、未成年の接種の禁止や販売免許、車の運転などは禁止されていますが、それさえ守ればお咎めなしということで、具体的な運営は州に任されます。ただ、未成年が酒を飲んだりしても逮捕されませんよね。『非犯罪化』というのはそういう意味です」(前出・週刊誌記者)

 上院でも当のハリス氏が提出しているが、こちらは共和党の反対があって審議は進んでいないのが現状。だが、上院は民主党と共和党の党勢は拮抗、1月の選挙の結果次第では民主党が逆転するかもしれず、そこは結果が待たれる。

 これと同時に、大統領選挙と同時に行われた住民投票で、アリゾナ、モンタナ、サウスダコタ、ニュージャージーの4州では嗜好用カナビスの合法化が賛成多数で上回った。アメリカでは2014年にコロラド州で合法化されて以来、これで15の州で解禁されたことになる。だから、アメリカ全土が解禁に傾きかけていることになる。

 実はこうした動きは全世界で徐々に広がっていることでもある。2013年にウルグアイが先陣を切って合法化したのは有名な話だ。厳しく取り締まることで却って地下に潜ることになり、犯罪組織の収益源となる。それなら、他の禁止薬物に比べて中毒性が軽微と言われる麻草は合法化してしまえ、という思惑が働いているのだろう。以来、カナダやジョージア(旧グルジア)、ルクセンブルグで解禁され、これにアメリカの15州が加わった形だ。

「『麻草解禁なるか!』というのがアメリカ国内での大統領選での争点でもあったので、バイデン氏の勝利が伝えられると、ニューヨーク証券取引所に上場しているキャノピー・グロースなどのカナダの麻関連企業が軒並み株価を上げていました」(アナリスト)

 12月1日には違法薬物である麻草所持で逮捕された伊勢谷友介の初公判があって、懲役1年が求刑された。

「酒よりもリラックスできてよく寝れた」と語った伊勢谷に対し、世界で進む解禁の流れを受け、一部では同情論も上がってはいるが、「法は法なり」、日本ではご法度だ。

 だが、海の向こうアメリカでは麻草の流通量はがぜん増えていく一方だろう。日本国内では自生する麻草も問題視されているが、伊勢谷のような逮捕者を出さないためにも、日本では密輸の水際対策がより求められることになるだろう。

(猫間滋)

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