年俸19億円を蹴って日本球界へ!? サイ・ヤング賞候補バウアーの親日度は本物か

 なぜ、「NPBのオファーも待つ」なんて言ったのか。今季のサイ・ヤング賞の最終候補3人にも入った米球界を代表する右腕、トレバー・バウアー投手(29)が、所属していたレッズのクオリファイング・オファー(QO)を拒否。他球団とも自由に交渉できるようになり、「MLBやNPBのオファーを検討します」と、衝撃的な発言をツイッターで発表した。

「バウアーの年俸は1750万ドル(約19億500万円)。NPBトップの年俸が菅野智之の6億5000万円(推定)ですよ。“菅野3人分”の年俸を稼ぐ、バリバリの現役投手と交渉できる日本の球団はありません」(ベテラン記者)

 プロ野球選手会が発表した今季の球団別総年俸によれば、12球団中10位の中日が19億3944万円。“中日1球団分”に匹敵する超高給取りが、日本に来るはずもない。そう思うのが当然だが、マンザラでもなさそうなのだ。

 そもそも、QOとは契約期限の切れたものの、手放したくない選手に対してMLB上位125人の年俸上位選手の平均額を提示し、1年契約を結べる制度。バウアーは1890万ドル(約19億8000万円)を蹴ったことになる。「それ以上の年俸で契約できる」と読んだのだろう。しかし、彼はただの親日家ではなかった。

「昨年10月、来日しています。来日中、パ・リーグのクライマックスシリーズも観戦していました」(球界関係者)

 それだけではない。先頃、引退を表明した元巨人・岩隈久志投手が監修するトレーニング施設や、同施設による少年野球の指導も見学していた。親交のある菊池雄星投手の地元・岩手県の野球施設も訪ねていて、インディアンス3A時代には「チームメイトだった松坂大輔と意気投合していた」という情報もある。

「日本の野球文化に興味があるそうです。甲子園大会など、日本の生活に密着した競技としてその影響力の大きさを社会学として勉強していました」(米国人ライター)

 きっかけは、09年に日米大学野球で来日したこと。滞在中、日本ならではのファンの応援スタイル、ファンが声を揃えてコールするエネルギッシュな観戦に魅了され、同時に正確、かつスピーディーな日本人選手の守備力やスイング技術の高さを認めていたそうだ。

「投手としては超一流。でも、調整法が独特で『中3日で投げさせろ』と言ったり、交代を告げられたら、マウンドに行った監督にボールを返さずに、センターバックスクリーンに放り込んだり…。ヤンキースが獲るかもと思い、各メディアが探りを入れましたが、『面倒臭い選手』ということで全く動きがありませんでした」(前出・米国人ライター)

 日本の野球文化の体感を保証すれば、「年俸は二の次」なんてこともあり得る。NPBのどこかがバウアーを獲得したら、日米の球界を巻き込む大騒動になりそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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