画面はアニメ版で「神回」と呼ばれる19話「ヒノカミ」の戦闘シーン。主人公・竈門炭治郎が十二鬼月の一人・累を相手に折れた刀で戦いを挑んでいる。画面の上部には「七」が2つ表示されており、「禰豆子を守るんだ」という字幕テロップは赤く表示されている。やがて画面中央に「PUSH(押せ)」のアイコンが映し出され、《悪鬼殲滅》の文字とともにピコピコーンという電子音が打ち鳴らされる…。じつはこれ、「鬼滅の刃」のパチンコ化を想定して作られたスーパーリーチ動画だ。
パチンコライターが解説する。
「SNSにアップされた『CR鬼滅の刃』ともいうべきデモ動画が話題になっていて、4カ月ほどで再生回数は20万回以上。もちろんパチンコが発売される予定もなく、創作パロディなのですが、そのクオリティの高さに、コメント欄には《メーカーの人が見たらさっそくパクりそう》《めちゃめちゃ打ちたくなったんだが…》《すべての演出見るために廃人になるヤツが出てきそう》といったコメントが寄せられています」
映画の興行収入が公開から10日間で100億円を突破したモンスターコンテンツだけに、仮にパチンコ台になれば、ホールに鬼滅ファンが押し寄せる事態となりそうだが…。業界関係者はこう話す。
「ホールでは顧客の高齢化が顕著で、収益性の低い1円パチンコが主流になりつつある。そこで『CR鬼滅』がホールデビューすれば、若い世代の取り込みに貢献することは必至。『週刊少年ジャンプ』に連載された作品では、これまで『北斗の拳』や『キン肉マン』、『コブラ』などがパチンコ台になって、原作のファンの取り込みに成功しています。ただ、それらは連載が終了してしばらく時間が経ってからのこと。かつて少年だった愛読者がいい年をしたおじさん世代になって『懐かしいなぁ』という気持ちで打つイメージでしょうか。そういう意味では、パチンコホールは18歳未満と高校生の入場を禁止しているので、若い世代に人気のある作品をパチンコ台にするのは慎重にならざるを得ないんです」
もちろん、パチンコ化にあたっては作者の了解なしでは実現できない。「週刊少年ジャンプ」に連載された超人気作が、ホールに登場しないのは、「ギャンブルのネタにされたくない」といった作者の意向が影響しているというのが定説だ。
パチンコメーカー関係者が「CR鬼滅の刃」実現の可能性についてこう推察する。
「現実的に考えて、パチンコ化は当面ないでしょう。『鬼滅』の劇場版は続編の製作が確実視されていますし、“本家”の連載は終了しても、今後『ジャンプ』誌上でスピンオフ作品が連載されることも考えられます。同じように映画化されたケースを挙げるとすれば、森田まさのり先生の『ROOKIES』。2003年に連載終了し、パチンコ台のリリースは2013年。連載終了から10年は間隔を空けるというのがひとつの基準かもしれませんね」
パチンコホールで“鬼滅フィーバー”が拝めるのは、早くても2030年!? その際には台の前で“全集中”するファンが続出しそうだ。
(平沼エコー)