マジックを1ケタに減らして、早くも優勝ムードが漂う巨人に“痛恨の一撃”を食らわせたのはハマの切り込み隊長・DeNA梶谷隆幸だ。0−5と5点のリードを許して迎えた7回裏、伊藤光のタイムリーヒットなどで2点を返し、なおもノーアウト満塁の場面。ここで梶谷が、これまで防御率0点台と安定感を見せていた高梨雄平の2球目を捉えて逆転となる満塁本塁打を放ったのだが、その直後に信じられない“大チョンボ”をやらかしていたという。
「1アウトも取られずに5点差をひっくり返す大逆転劇の興奮もあったのか、1塁ベースを踏み忘れてしまったんです。あわや本塁打が帳消しになる走塁ミスでしたが、ベースコーチについていた長池恭男内野守備走塁コーチがあわてて梶谷を呼び戻して、ベースを踏むよう指示していました」(スポーツ紙記者)
試合終了後のお立ち台でも、「ベース踏み忘れたので焦りました」と語っていた梶谷。もしも踏み忘れたままダイヤモンドを一周していたら、どうなっていたのだろうか。
「守備側のチームが踏み忘れを申告して、認められればホームランは幻と消えます。割と多いのがホームベースの“空過”で、2017年にオリックスのマレーロがノーアウト1塁の場面でスタンドに打球を放り込んだものの、本塁の踏み忘れで記録上は3塁打、打点1となっています。梶谷選手の場合は1塁の空過だったので、記録上はアウト。ただし、塁上にいた走者の生還は認められるので、打点は3。この回の攻撃は同点で終わっていたかもしれません」(プロ野球解説者)
あやうく3年ぶりとなる“珍事”を起こすところだった!? とはいえ梶谷は8回に2打席連続となる2ランを放っており、いずれにしてもDeNAの勝利は変わらなかったのだが……。
「やはり1塁コーチについていた長池さんの好プレーと言えるでしょう。球場が観客の大歓声で沸くなか、基本のチェックを怠らなかったということ。じつは梶谷選手は、どちらかといえば調子の浮き沈みが激しく、ささいなミスをきっかけに絶不調に陥ることもしばしば。一時期、3番を打ったこともありますが得点圏打率は1割台と低迷して、2番にしたとたんに打ち始めたこともあります。食が細く、夏場に体重が落ちることを本人も気にしていて、筋力アップのために1日5食の習慣を心掛けたこともあったようです。ホームラン取り消しなんて、球史に残る不名誉な記録を作ったら、これまでの活躍が嘘のように絶不調に陥っていた可能性もありますよ」(球界関係者)
選手もコーチもまさに一丸となってAクラスを目指すDeNA。残りシーズンの“粘り”に期待したい。
(渡辺俊哉)