家具・インテリア小売り製造最大手のニトリホールディングスが絶好調だ。
4月8日に発表された2019年2月期連結決算では、営業利益が1007億7900万円となり、初めて1000億円を突破し、売上高も32期連続の増収増益。今後も国内外で新規出店を増やしていく計画だという。
「好調な理由については製造から販売までの“自前主義”の成功など色々挙げられますが、最も牽引しているのは生活雑貨類でしょう。ニトリの店舗は基本的に1階が雑貨、2階が家具という売り場構成になっていますが、雑貨類の売り上げが6割以上で実は家具よりも売れている。その勢いはすさまじく、今年1月に無印良品が2月期の業績予測を下方修正した際、その原因がニトリ雑貨に食われたためとの分析もあるほどです」(経済誌編集者)
現在、ニトリは郊外だけでなく都心部でも店舗を増やしているが、それを支えているのもリーズナブルな雑貨と言われており、幅広い世代から支持されているという。それを裏付けるように、10日に東洋経済とJNNデータバンクにより作成、発表された「好感度が高い企業ランキング」では、ニトリが堂々の5位にランクインしている。
こうした破竹の勢いを受け、創業者である似鳥昭雄会長は「40期連続の増収増益を目指す」と息巻いているのだが、果たして死角はないのだろうか。
「都心部では特に雑貨の競合店がひしめき、無印良品もこのまま引き下がるわけもなく、好調をキープし続けるのは容易なことではありません。もう一つ懸念されているのが、海外出店の是非です。ニトリは次の成長の柱として中国での出店を積極的に進め、“2022年までに100店舗”を掲げていましたが、状況が芳しくなく今年になり計画を白紙にする意向を示している。それでも、中国の巨大市場は魅力のようで、ペースを下げてでも出店は続けていく姿勢です。中国ではこの先、酷似した業態が出てくる可能性もあり、そもそも中国に進出した日系企業で成功した例は非常に少ない。それだけに、あまり深追いし過ぎると大きな痛手を食う可能性もあります」(同)
我々消費者としては、いつまでも「お値段以上」のものを提供してくれることが第一だが。
(小林洋三)