ここ数年、かつての中国のように欧州でプレーしていた有名サッカー選手の“爆買い”が加速化していたサウジアラビアの「サウジ・プロフェッショナルリーグ」。22年のカタールW杯以降、C.ロナウドをはじめ、ネイマールやカリム・ベンゼマ、ファビーニョにサディオ・マネなどビッグクラブから多くのスター選手が移籍していたが、その流れが早くも終わりを告げようとしているようだ。
3月上旬に「ブルームバーグ」が配信した同リーグのカルロ・ノーラCOOへのインタビュー記事によると、今シーズンの1試合あたりの平均入場者数は昨季の10%減の8321人。さらに「資金を捻出するのであれば、選手を解雇するか売却する必要がある」と述べている。
「そもそもスター選手たちが加入したのは、政府系ファンドが多額の資金を投入したアル・イテハド、アル・ヒラル、アル・ナスル、アル・アハリの4クラブだけ。これらの入場者数は平均を上回っていますが、サウジ1部リーグの残り14クラブは大きく下回っています。この露骨なまでの扱いの差に地元サポーターたちがしらけてしまい、自国リーグに興味を失ってしまったようです」(サッカー誌編集者)
試合中継を無料で放送するサイトは複数あるもののリーグ自体のレベルも高いとはいえず、当然ながら欧州のサッカーファンからは見向きもされていない。
しかも、次回の「AFCアジアカップ2027」の開催国はサウジアラビア。各クラブのスタジアムが会場となり、大規模な修繕や補修などの費用も負担しなければならない。
「実は、スター選手を獲得した4クラブでさえ自力での経営はかなり厳しいんです。爆買いはファンドが3年分の資金を一度に投入してくれたことで実現したに過ぎず、COOが指摘するように資金繰りのために選手を売るチームもあるでしょう。しかし、交渉がまとまっても他国リーグは移籍金も適正価格のため、大赤字は必至です」(同)
一連の報道を受け日本や欧州のネット上では、《サウジの爆買い早くも終了》《中国リーグより短命だった》といった書き込みが殺到。やはり市場価値を無視した超高額な移籍金や年棒は、リーグやクラブの運営を圧迫することになっていたようだ。