リリーフに再コンバートされた楽天イーグルスの松井裕樹が、いきなりの“炎上”となってしまった。10月1日、今季の“リリーバー初登板”となったソフトバンク戦では先頭打者を四球で歩かせ、同点打を浴び、スクイズによる勝ち越しまで許してしまった。
試合後の松井は「先頭バッターを歩かせたのが、そもそもの失敗」と肩を落としていた。
「昨季のセーブ王らしくないピッチングでした。先発で調整していたので、リリーフとの違いに戸惑った部分も大きかったでしょう」(スポーツ紙記者)
そんな指摘も多く出ていたが、三木肇監督はペナントレース終了までリリーフで使っていくという。理由は救援陣の息切れだが、単なる人数不足の補充ではないようだ。
松井が先発で5回を投げて3勝目を挙げた9月24日の千葉ロッテ戦を指して、こんな声も聞かれた。
「初回から全力投球でした。勝利投手の権利を得る5イニング目はもうフラフラで、長打と2四球で満塁のピンチを招きました」(プロ野球解説者)
記録上では5イニングを投げ、無失点。6回以降はリリーフ陣が繋いたが、「松井は長いイニングを投げる技術とスタミナが不足している」(前出・プロ野球解説者)と厳しい評価もされていた。
「ブセニッツをクローザーにしていますが、前半戦は森原がその役目を務めていました。森原が再調整となり、寺岡、牧田、酒居がフル回転です。8月下旬から救援陣の失点が続いており、広島からDJジョンソン(楽天での登録名はジョンソン)を獲得しても、コマ不足は変わりません」(前出・プロ野球解説者)
昨季のセーブ王・松井の配置換えが決まったのはそんなチーム事情も影響していたのだろう。先発・松井は長いイニングが投げられない。5イニングで交代となれば、チームはその後の4イニングを投げるリリーバーを用意しなければならない。松井が先発する日は“大忙し”となる。そんな総動員に近い試合をなくし、かつリリーフの経験豊富な投手を補充するという意味で、今回の配置替えが決まったのだ。リリーフ投手たちは「松井よ、休ませてくれ」という心境だったのではないか。
「三木監督は松井をクローザーではなく、良い意味で便利屋として使おうとしています。クローザーのブセニッツを動かすのは得策ではないので…」(前出・スポーツ紙記者)
10月2日のオリックス戦、松井は配置転換2戦目で逆転勝利に貢献して白星をつかんだ。
先発転向の是非は今オフも再検討されることになりそうだが、逆転優勝、CS進出が果たせるかは、松井が救援でフル回転できるかどうかにかかっているようだ。
(スポーツライター・飯山満)