「事故さえ起こさなければ捕まらないという認識だった」
警察の調べに対してそう供述したTOKIOの元メンバー・山口達也容疑者。
9月22日、同容疑者は東京都練馬区内で酒を飲んだ状態でバイクを運転し、道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕された。検査では、呼気1リットルあたり0.75ミリグラムという基準値を大幅に上回るアルコールが検出された。同容疑者は「酒が残っている感覚があった」とも語っているという。
この報道を受けてネット上では、《これだけ飲酒運転が厳罰化されているにもかかわらず、酔っ払っている自覚があるのに運転するってビョーキ?》《事故を起こして死傷者が出なくて本当に良かった》などの声があがっている。
山口容疑者は、取り調べで「日付をまたいで飲んでいない」と供述。このコメントを受けて、9月23日放送の情報番組「ゴゴスマ」(TBS系)では、「呼気中アルコール濃度は9時間で4分の1になる」との医師のコメントを紹介。さらに、番組MCの石井亮次アナが「体質などにもよるが単純計算するとビール中瓶28〜32本相当のアルコールを摂取したと考えられる」と同コメントを読み上げると、スタジオでは驚きの声があがった。これはあくまで、山口容疑者が事故前日の深夜0時までに飲酒を切り上げていたことが前提となるが、やはりビール32本は相当なインパクトがあったようだ。なお、石井アナの試算によれば、焼酎に換算すると3リットルほどの飲酒量になるという。
別の医師によれば、今回の山口容疑者の事件に限らず、新型コロナ禍の現在はアルコール依存者の数が急増しているという。
「アルコール依存症患者は予備軍を含めて国内に100万人いるとされていますが、コロナが流行するようになってからは受診する患者さんの数がいっそう増えてきています。リモートワークなどによって在宅時間が増えたことや、コロナで会社の業績が低迷したり解雇されたりといったストレスから、お酒に逃げてしまう人も多いようです。もっとも恐ろしいのは記憶障害。『オレはもう酒を断った』『ビール1本だけ…』と思って就寝していても、知らず知らずのうちに酒に手を伸ばしてしまうケース。気づけば冷蔵庫にある缶チューハイをすべて飲み干していたり、ひどいケースになると、コンビニまで買いに行った記憶すらないという人もいます。『酩酊してもオレは家に帰れる』と豪語するような“酒豪”の人は要注意です」
東京都内で暮らす山内和美さん(OL、48歳)は、アルコール依存症で無職の夫の暴力に悩まされてきた一人だ。
「夫は気が弱くて優しい人でしたが、勤めていた会社を5年前にクビになってからはお酒の量が増えていきました。たびたび私に暴力をふるうようになり、昨年夫と一緒に病院に行くとアルコール依存症と診断されました。その後は夫も心を入れ替えてお酒を控えるようになり、居酒屋でアルバイトも始めるようになりました。しかし、コロナで再び解雇になってからは、家にいる間ずっとお酒を飲む生活に逆戻り。仕事が見つからないストレスから、『お前が悪い!』と私を大声で責め立て、髪を引っ張り回し、お腹を何発も蹴られたことも…。恐ろしいことに、翌朝は何も覚えていないんです。そんなことも続いて、夫とは別居状態でもうすぐ離婚する予定です」
アルコール依存症という病気は決して他人事ではないことを肝に命じておきたいところだ。
(橋爪けいすけ)