先発1試合1000万円!?「大物メジャー」獲得に見る千葉ロッテ“優勝への本気度”

 2009年セ・リーグ最優秀防御率賞、日米通算95勝を挙げた元中日のチェン・ウェインの千葉ロッテ入りが9月21日に発表された。9月23日現在、2位につけるロッテは10月に2度、首位・ソフトバンクとの3連戦が組まれており、この大一番に経験豊富な左腕を先発で起用する見込みだという。

 まさに、逆転優勝を果たすための緊急補強だが、チェンの推定年俸が3000万円と格安なことに首を傾げる関係者もいた。途中入団ではあるが、彼の代理人は“吸血鬼”の異名を持つスコット・ボラス氏なのだ。

「来日は19日でした。一連の新型コロナウイルスの感染防止策で2週間の隔離生活は避けられないので、チーム合流は10月に入ってからになります。そこから調整するとなると、せいぜい3試合。クライマックスシリーズ、日本シリーズに進出すれば話は別ですが…」(スポーツ紙記者)

 メディアが予想するスケジュール通りにいくと、「1試合1000万円」の計算だ。そう考えるとむしろ高いほうだが、こんな指摘も聞かれた。

「チェンは今季のメジャー最高給選手ですからね。マイアミ方面ではそんな皮肉いっぱいの記事が出たこともあります」(米国人ライター)

 16年から4年間、チェンはマイアミ・マーリンズに在籍した。「5年総額8000万ドル(約86億円)」の大型契約だったが、左肘の故障で不振が続き、昨年オフ、マーリンズの40人枠から外されてしまった。事実上のクビであり、いったんはシアトル・マリナーズとマイナー契約を交わしたが、マーリンズは5年契約が終了する2020年までチェンに年俸を払い続ける義務がある。そのため、契約最終年の今季、残りの2200万ドル(約22億6000万円)を受け取ることができるのだ。

「コロナ禍で試合ができないため、米選手会と経営陣は年俸の減額幅を巡って交渉を続けました。選手側も大幅な減額を受け入れましたが、『過去に交わした複数年契約は論外』となりました」(前出・米国人ライター)

 な〜んにもしないで、約23億円ももらえるのなら、来季に備えて左肘のケアに専念したほうが良さそうだが、「投げたい!」「試合に出たい!」という欲求を抑えられなかったのだろう。ボラス氏が“格安”で千葉ロッテに売り込んだのも理解できる。

 実戦から遠のいているのが、ちょっと気になる。同じ台湾出身でチームメイトとなるチェン・グァンユウは、毎年、自主トレに誘うなどしてかわいがってきた弟分だ。優勝すれば、「1試合1000万円」は高くない。そうなるためにも、弟分のサポートも欠かせないようだ。

(スポーツライター・飯山満)

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