原巨人が3度目となるシーズン途中でのトレードをまとめた。推定年俸1億5400万円の澤村拓一投手と、推定年俸650万円の楽天・香月一也内野手の「格差」に驚いた関係者も少なくないが、これは今オフのフリーエージェント市場をうらなう“予兆”とも受け取れる。
「今オフの国内FA市場といえば、野手では東京ヤクルトの山田哲人、投手では中日・大野雄大の去就に注目が集まっています。でも、一連のコロナ禍で投打の大物選手に対する考え方も変わりつつあります」(関係者)
注目選手が山田、大野から別の選手に変わりつつあるという。東北楽天の辛島航、塩見貴洋の両投手の評価が急上昇しているのだ。
「2人とも『Cランク』なので、獲得した際の補償が一切発生しないんです」(前出・関係者)
今さらだが、FA権を行使した選手を獲得した場合、旧在籍チームに対し、「補償」をしなければならない。旧在籍チームの年俸3傑に入っていた選手はAランクと位置づけられ、獲得したチームは旧年俸の80%(2回の権利行使は40%)か、「人的補償+旧年俸の50%」を支払わなければならない。Bランクは年俸4位から10位までの選手を指し、旧年俸の60%(2回目は30%)か、「人的補償+旧年俸の40%」を支払う。しかし、年俸11位以下のCランク選手の選手を獲得した場合は、人的補償はもちろん、金銭的補償は発生しない。Aランクの山田、大野よりも「金銭的補償のないCランク選手」の需要が高まりつつあるという。
「コロナ禍でどの球団も減収額は60億円強とされています。試合数が減ったうえに、無観客試合で開幕戦を迎え、今も『上限5000人』の制限が課されています。選手補強をしたいものの、獲得資金が足りません」(ベテラン記者)
今回のトレードだが、千葉ロッテ側が仕掛けたと言われている。同時に「巨人側が売り込んだ」という正反対の情報も飛び交っていた。新人王、最多セーブのタイトルも獲得した澤村の交換要員が、通算一軍出場数が47試合の中堅選手では釣り合わない部分もある。開幕時点の支配下登録選手の総年俸で43億円以上をカウントしていた巨人が“人件費削減”を意識したとすれば、「山田、大野よりもCランクの辛島、塩見」のFA情報もマンザラではなさそうだ。
(スポーツライター・飯山満)