夏にピークアウトするとみられていた新型コロナウイルスは依然として全国的に猛威を振るっている。特に大都市圏では、感染者数の発表に一喜一憂する始末。だが待ってほしい。我々は意外な「盲点」を見逃していたのかもしれない。
はたして、新型コロナは「第2波」を乗り越えたのか。8月28日の感染者数は東京都で226人と3日連続で200人超え。大阪府は106人と100人前後での推移が続く。
「今の流行は全国的にはだいたいピークに達したというのが、私たちの読みだ」
8月20日の日本感染症学会の学術講演会で、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、国内の流行状況について小康状態に向かっているとの認識を示した。医療ジャーナリストが解説する。
「PCR検査の実施数が日によって異なるので感染者の数字はアゲサゲしていますが、流行曲線は週をまたぐごとに小さくなっています。重症者も7月上旬頃から東京以外の都市を中心に増加傾向で、200〜250人程度の数字が続いていますが、緊急事態宣言が出された4月のピーク時(381人)と比べると低いラインで推移している現状です」
だが、これが終息のサインとみるのは時期尚早だろう。実際、日本の冬には、新型コロナの脅威に加え、従来型インフルエンザの流行も予想される。さらに、ここに加わるのが従来型のコロナウイルス。つまり「Wコロナ」が日本列島を席巻する可能性が指摘されているのだ。
西武学園医療技術専門学校東京池袋校校長・中原英臣氏が解説する。
「いわゆる風邪と呼ばれる従来型のコロナウイルスは、咳や喉の痛み程度の症状なので、新型と違い、重症化のリスクそのものは高くなく、過剰に構える必要はありません。しかし、ついつい自己判断で市販の飲み薬を服用して対処しがちです。ところが、その症状は新型コロナウイルスの初期症状と似ているため素人目には区別がつきません。風邪の症状がある場合は、いずれにせよ病院で受診したほうがいいでしょう」
実は、新型コロナの流行が長期化するにつれ、危惧されているのが、安易な自己判断だ。そのため、無自覚・無症状でない感染者がスーパースプレッダーとして市中に出る危険性もはらんでいる。まさにWコロナ恐るべしなのだ。