1位指名は即戦力外野手!巨人のドラフト戦略に原監督とスカウト陣の“確執”

 原巨人のドラフト戦略は「異常アリ」だ。去る8月28日、ドラフト会議の指名候補を絞り込むスカウティング報告を含む来季のチーム編成会議が行われた。「即戦力となる外野手を1位指名する方針を固めた」とのことだが、大塚淳弘球団副代表(編成担当)を始め、巨人関係者から出たセリフは意味シンなものばかりだった。

「大塚副代表は『とくにパワーヒッターが足りない』と話していました。JFE東日本・今川優馬外野手、内外野ともに守れる近大・佐藤輝明選手など、今秋のドラフト候補には即戦力と見ていいスラッガーもいますから」(スポーツ紙記者)

 今年のドラフト候補だが、「野手よりも投手に逸材が多い」という。また、同副代表はこうも語っていた。「万が一外れても、投手は揃っている」と。前述の今年のドラフト傾向を念頭に、この“万が一発言”をよく考えてみると、1位指名候補の本命の外野手がいて、指名重複で抽選に外れた場合は、投手に切り換えると解釈できるが…。

 巨人のドラフト戦略について、こんな予想もされている。

「昨秋は奥川恭伸(現ヤクルト)の抽選に外れ、2回目の入札で社会人投手の宮川哲(現西武)の指名を狙いました。外野手より先発タイプの投手が欲しいはず」(球界関係者)

 もっとも、この時期に各球団から聞こえてくるドラフト関連の情報は“ファイナル・アンサー”ではない。大本命がいて、早々に決断することもあるが、それはごく稀なケース。他球団の状況も見て、ドラフト会議直前に決定するのが通例だ。

「昨秋の2位・太田龍を即戦力と評していましたが、右肩に故障を抱えていました。即戦力か否かの最終判断で『問題ナシ』と見誤ったスカウト陣に、原辰徳監督はオカンムリだという情報もあれば、将来性ばかりを重視した全体の指名を指して、全ては将来の阿部(慎之助)政権のためとの声も聞かれました」(前出・スポーツ紙記者)

 戸郷、大江、直江など、下位指名の高校卒投手が活躍している現状も重ねて見ると、巨人のスカウティングはむしろ優秀だ。現有戦力の外野手だが、亀井は今季38歳、陽は33歳。即戦力の外野手を補強したい気持ちもわかるが、やはりファイナル・アンサーではなさそうだ。

「過去には夏の甲子園大会で指名順位がガラリと変わることもありました。しかし今年は甲子園大会が特異なケースとなったため、当然ながら、無名校からスターが誕生することもなく、スカウトが足で集めた調査結果をもとに指名が行われそう」(前出・関係者)

 今年は球団のスカウト網が試されるドラフトとなりそうだ。即戦力外野手の1位指名は、二転三転すると見ていいかもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

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