史上1位を逃した時点で、「2位確保」も厳しい状況に!? 打撃不振に喘ぐ坂本勇人がプロ野球史上最年少での2000本安打達成を逃し、1カ月が経過した。それに影響を受けた部分もあるが、NPBでは今シーズンのタイトルホルダーの成績に「注釈を付けるべきか?」という議論が勃発しそうだ。
「今季の開幕時点で、坂本は『あと116本』で2000本安打達成でした。7月13日までに到達していれば、プロ野球史上最年少記録となりましたが、開幕が遅れたことで記録更新は叶わず、また、調整に失敗したのか打撃不振に悩まされています」(スポーツ紙記者)
開幕から9連勝中の巨人・菅野、8連勝まで数字を伸ばした楽天・涌井は、このペースで行けば、通常シーズンとさほど変わらない勝ち星を挙げるかもしれない。また、両リーグ一番乗りで20本塁打に到達した日本ハム・中田翔にも40本の大台到達の可能性が出てきた。
しかし、それは現在の好調さを持続していくことが大前提であって、投打ともにタイトルホルダーに相応しくない数字が記録として残りそうだ。
「野球協約159条に『ホーム・ゲームの数は、60試合を最低数とする』とあり、同158条には『同数のホーム・ゲームとロード・ゲームによって編成されることを原則とする』とあります。つまり、試合数こそ異なりますが、協約上では去年と同じペナントレースが行われたと解釈されます。なので、試合数が少なかったという注釈を入れにくいとする声も聞かれました」(前出・スポーツ紙記者)
タイトルホルダーの数字がショボイものになった場合、その選手の名誉のためにも、注釈は付けてもらいたいものだが……。
坂本の話に戻せば、ペナントレースの開幕が6月に先延ばしされた時点で、最年少記録を更新する可能性はなくなったが、今シーズンでの到達ができなければ2位争いからも脱落することとなる。8月26日試合終了時点で、通算安打数は1931。残り65試合で69安打がノルマとなる。
同2位は張本勲氏が持つ32歳2カ月。坂本は今年12月14日に32歳になるが、2カ月後はまだキャンプ、オープン戦の時期。土井正博氏が持つ同3位の33歳6カ月は抜けると思われるが、最年少記録の更新ほどの話題にはならないだろう。周囲からは「坂本は個人記録のことは気にしていない」との声も聞かれるが、プロ野球は“数字がすべて”の世界でもある。今年度のタイトルホルダーの記録同様、坂本が2000本安打に到達した際には、「2020年ペナントレースは約3カ月遅延」と書き記してもらいたいものだ。
(スポーツライター・飯山満)