オリックスバファローズが西村徳文監督(60)の“辞任”を発表したのは、8月20日の試合後。同日の埼玉西武戦を落とした時点での成績は、16勝33敗4分けの借金17。「フロントが決断するのは時間の問題」(在阪記者)なんて声もあっただけに、さほどの混乱もなかったようである。
新体制となったオリックスは21日から3連勝を飾って再スタートを切ったが、そこに疑問が…。各メディアが「事実上の辞任」と、回りくどい言い方をしているのだ。
「西村監督の『辞任』と11人のコーチの配置転換を発表したのは、福良淳一GM(60)でした」(前出・在阪記者)
両者の不和も囁かれていた。2人は2016年シーズンから現場で「福良監督−西村ヘッドコーチ」のコンビを組んできた。しかし、西村監督となった19年シーズン以降、亀裂が生じていた。
「福良GMは日本ハムコーチを経て、オリックスに行きました。もとを質せば、阪急ブレーブスの出身であり、13年に“帰還”しているので選手との付き合いも長い。選手たちは福良GMのほうを向き、西村監督は『現場の要望が補強に反映されていない』という不満もあったようです」(球界関係者)
その福良GMが中嶋聡二軍監督(51)の代行指揮を会見で伝えた後だった。退席する同GMを追い掛け、何人かの記者がぶら下がってきた。そして、「(西村監督の)解任が…」と言うと、それを遮った。
「いえ、辞任を要請しました」
福良GMは「解任」を否定したが、その言葉の通りなら、「辞めてください」と通達し、西村監督も覚悟も決めたということになる。一般社会でもそうだが、「辞めろ」と言われて居座るヤツはいないが…。
「中嶋代行も阪急出身でしたね。昨オフ、西村監督とは『1年契約』を交わしており、その時点でブレーブス時代の後輩にあたる中嶋代行を、いずれ一軍の指揮官に昇格させるつもりでいたのかもしれません。田口壮・野手総合兼打撃コーチ(51)の昇格を望むファンの声、野茂英雄氏やイチロー氏の監督待望論もありましたが…」(前出・在阪記者)
今さらだが、オリックスバファローズはオリックスブルーウェーブと近鉄バファローズの合併球団だ。ここだけの話、旧オリックスと近鉄のOBの間からは「今の球団は、オレたちのいた球団ではない」なんて声もあり、その傾向はオリックスの前身である阪急ブレーブスの出身者はとくに強く持っている。福良GMはその阪急時代を知る者として、OBたちの協力を仰ぎやすい環境に作り替えたかったのかもしれない。「オリックスに入団した田口コーチ、イチロー氏よりも先に阪急出身者を…」という思惑があったとは考えすぎだろうか。ともあれ、「辞任を要請した」はキョーレツなひと言である。
(スポーツライター・飯山満)