ペナントレースの開幕から1週間、福岡ソフトバンクホークスが順調なスタートを切っている。
開幕前、パ・リーグの順位予想でプロ野球解説者の大半がホークスを優勝候補に挙げていたが、その要因は圧倒的な選手層の厚さに尽きる。クローザーのサファテが開幕に間に合わなくても、森唯斗がいる。外野の一角を担う中村晃がいなくても、好打の上林誠知がいる。グラシアルも引き続き打撃好調であり、今季も他球団が羨むほどの戦力だ。
なのに、ここにきて「ホークスが危ない」という声も聞かれる。理由は巨大戦力ゆえの落とし穴だというのだ。
「マンネリですよ。工藤公康監督は5年目、選手層はたしかに厚いが、チームの中核選手は相変わらず松田、内川、柳田。ベンチの雰囲気を一変するような新しい選手は出ていません」(スポーツ紙記者)
昨オフ、ホークスは大型補強を見送った。「現有戦力で勝てる」と判断したからだが、こんな情報も聞かれた。孫正義オーナーは昨季の日本一に満足していないというのだ。
「ペナントレースの優勝を逃したことで、クライマックスシリーズ、日本シリーズの勝利は、その償いみたいな形に…。そういう声が孫オーナーや経営陣から出ているようです」(同前)
ならば、オフの大型補強を行うべきだったように思えるが、現有の巨大戦力で負けるはずがないとの思いのほうが強く、工藤監督以下、現場に檄を飛ばすだけ。有り余る戦力を有効利用する方法を考えろ、というわけだ。
「なんとなく、FA制度が導入された当初の巨人に似ていますね。戦力は持っているが、枚数だけ多くて存分に力が発揮されていない。ただ、資金豊富なチームなので、順位が落ちてきたらシーズン途中に再び補強するかもしれません」(同前)
開幕ダッシュの勢いが止まったとき、ホークスは思わぬ低迷期を迎えることになるかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)