ソニーが3月28日、平井一夫会長が6月18日付で会長職を退任することを発表、取締役も退くという。平井会長は「会社をより一層輝かせていく体制が整ったと確信し、35年間過ごしたソニーグループから卒業する」とコメント。ソニー復活の立役者が現場を去ることになった。
「平井会長は、4期連続で連結最終赤字を計上するなど“ソニーは終わった”と囁かれる状況の中で、2012年に社長に就任。就任当初は、人員削減や製品の絞り込みといった節減策を積極的に行いましたが、結果が出ずに『ソニーのことを何も分かっていない』とコテンパンに酷評されることもありました。しかしこの方針は、ただ切り捨てるのではなく、“選択と集中”を意味していました。不要なものはどんどん削減していき、必要な部分に人と金と技術を集中させたわけです」(経済評論家)
その最たる例が、テレビ事業だ。ソニーのテレビ事業は04年から10年連続で赤字を出していたが、その改革によって15年度には黒字化に成功している。
「ソニーのテレビはそれまで、単に売り上げ台数にこだわり赤字を垂れ流していたが、徹底的に“量より質”を求めたことで成功を収めました。加えて、平井会長を語る上で忘れてはならないのがゲーム事業。もともとゲーム畑に身を置いていましたが、社長になってからもゲーム機とネットワークの融合へ力を入れる姿勢を貫き続けた。2017年にソニーは1998年以来過去最高の営業利益7349億円を記録しますが、そこで最も数字を伸ばしていたのが、ゲーム&ネットワークサービス事業だったのです」(ゲーム誌編集者)
そのため、ゲームファンをもザワつかせている平井会長の退任発表。今後はソニーグループのシニアアドバイザーを務めるというが、多少は積極的に口を出して欲しいとも思ってしまう。
(小林洋三)