「大卒」が「高卒」と偽って懲戒免職!前代未聞の「学歴詐称」はなぜ起きた?

 神戸市は14日、水道局に勤務していた公務員の男性(48歳)を学歴詐称の疑いで懲戒免職処分にしたと発表。ところが、この男性職員が大卒を高卒と偽っていたとで、《逆はあっても、大卒をわざわざ高卒と偽る学歴詐称は前代未聞!》と、ネット上で、大きな注目を集めている。

 同市によれば、この職員は1995年、受験資格が高卒以下の採用区分で合格し、翌96年から神戸市水道局に勤務していたとされるが、

「実は神戸市役所では2006年度の調査で、市職員36人の学歴詐称が発覚したことがあるんです。ただ、その際は、自ら申し出れば退職金が出る諭旨免職の扱いにする、といった温情処分が下されました。その際、この男性職員にも最終学歴を確認したようなんですが、本人は『高卒』と回答し、市もそれを鵜呑みにしてしまった。ところが、今年3月に匿名の通報があり、この事実が発覚。結果、懲戒免職という極めて重い処分が下ったというわけです」(全国紙社会部記者)

 神戸市の発表を受け、各メディアがこのニュースを報道すると、SNS上では、

《24年前の受験資格なら詐称でも時効になるかも知れないが、やはり途中で自己申告を求められた時点で訂正しなかったのはまずかった》《公務員に対する副業や経歴の密告なんて、よほど近しい仲でないと誰も知らないのに……》という意見がある一方、

《正直、大卒が高卒の仕事に応募して何が悪いのかが理解できない》《高卒が大卒を偽るのはだめだと思うけど、大卒なら高卒以上の学歴があるから別にいいじゃん》《その人、1996年から仕事してんでしょ? 仕事出来て重宝されてるならもう時効と言うか……良いんではないの?と思うけどなぁ。ダメなのかなぁ……》といった同情の声が多かった。

 前出の社会部記者が言う。

「一般的に大卒と高卒とでは初任給から差があり、その後も大卒は高卒より高給になる場合が多く、出世スピードも早いのが事実。にもかかわらず、この職員は、あえてその大卒という”有利”な条件を捨て、わざわざ高卒にしなければならなかった理由があった。推測ですが、現在48歳で1996年入庁といえば、時代は、就職氷河期の真っ只中だったはず。そういったものが背景にあった可能性は十分考えられますね」

 時代背景を鑑みて、ネット上には《本来罰せられるのはこの職員でなく、団塊世代の“大卒”を前提とした採用ビジョンやいつまでも雇用問題を放置している日本政府だと思う》という意見も少なくなかった。

「最近になり、政府は突如として『氷河期世代の救済』などと言い始めましたが、不景気を理由に採用を凍結し、今度は中堅世代が不足したから、慌ててその年代を補充し始めただけの話。結局はビジョンも何もない、行き当たりばったりの政策です。で、都合の悪い者は何十年貢献してきても、何も考えずスパッと切ってしまう。今回の件がこれだけ注目されていることを考えると、若い世代の中にも、これを一個人ではなく、社会全体の問題として捉える人たちが多いということでしょう。政府はこういう声にこそ、きちんと耳を傾けるべきでしょうね」(前出・社会部記者)

 コロナ禍により、今後の就職戦線は“超氷河期”を迎えることは間違いないが、間違っても、欠員作りのための“アラ探し”がエスカレートしないことを願いたいばかりだ。

(灯倫太郎)

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