知っておきたい新語「コロナ世代」の正しい使い方とは?

「今春卒業の大学生の就職内定率が92.3%で、9年連続上昇で過去最高を記録!」と報じられたのは2月1日のこと。しかしその後、新型コロナウイルスの蔓延が日本でも報告され状況は一変、就職戦線は異常事態となった。

 時事通信が先ごろ行った、主要100社を対象にした2021年春の新卒採用に関するアンケート調査によれば、合同説明会や会社説明会は新型コロナウイルスの影響で「ほぼ全壊状態」に陥っているということだ。そして、「対面での情報発信ができなくなり、学生のエントリー数が低下する」との採用担当者の声が伝えられ、「優秀な学生を逃してしまう」との企業側の焦りが伺える。

 同じ調査では、採用そのものを手控える傾向も明らかになっている。採用方針を明らかにした71社のうち、「減らす」と答えたのが24社で前年から倍増、一方、このご時世に「増やす」と答えたのが10社あったが、こちらは前年の24社の半分以下にまで落ち込んでいるという。

 ツイッターでは「コロナ世代」という言葉が使われるようになっている。使い方には幅があって、上の時事通信の調査が明らかにしたような、「就職氷河期」を思わせるような使い方も見られれば、まだ社会に出る前の、入学式や卒業式が行えなかった世代を指す場合もあるようだ。

「学生運動が盛り上がっていた1969年は東大全共闘による安田講堂占拠事件による影響で『東大入試中止事件』があって、他大学の受験・入学を余儀なくされた『幻の東大生』が多数生まれました。1年以内の延期が決まった東京五輪でも、1980年のモスクワオリンピックに日本を含めた西側諸国は不参加で、世界オリンピアンズ協会からオリンピアンと認められない『幻のオリンピアン』が多数生まれた過去があります」(週刊誌記者)

 既に中止が決まった春のセンバツ甲子園では、もう『幻の甲子園球児』が生まれてしまっているし、今の状況を考えれば夏の甲子園開催も危うい。本当にかわいそうな話ではあるが、就活生を含め、人生の節目をこの時期に迎えてしまった多くの若者が、後世において「コロナ世代」としてくくられることになるだろう。

(猫間滋)

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