「コロナ専門家」12人を格付けチェック!「マスク不要」「42万死亡説」の出処

 連日、新規感染者数の最多記録が更新されるなど、終わりの見えないコロナ禍。政府はまったくアテにならず、テレビの専門家のコメントもバラバラ。いったい、何を信じていいのか。そして誰の言っていることが正しいのか。

 次から次へと、しかも強烈なキャラクターが登場するコロナ報道。討論形式の番組では意見が真っ向対立し、罵り合う場面も見られるほど、考え方に差のある「専門家」もいるほどだ。

 では、どうするか。本格的な第2波を前に、誰を信用していいのか、知りたくなるではないか。

 テレビ番組などへの登場頻度の高い、主な医療関係者の、4月以降の発言や主張をもとに、コロナ治療の現場の医師や看護師、検査関係者などから、ホンネで「格付け判定」してもらったのがページ下部の12人だ。

 まずは、海外出張の多いビジネスマンを診察している産業医が解説する。

「人と人との接触さえ断てば、新型コロナの感染拡大は防げます。ですが、緊急事態宣言後の混乱を見ればわかるとおり、それは持続不可能。だからといって、医療をないがしろにした経済活動重視に偏るわけにもいかない。なぜなら、ヨーロッパや東南アジアなど、日本人の入国を再開した国の多くが、入国条件に『PCR検査陰性』の証明書提示を課しているのです。日本経済を回すために、日本もアメリカ並みにPCR検査件数を増やす必要が出てきましたし、企業も無症状の感染者を看過できなくなりました」

 経済活動再開の鍵を握るのは、コロナ対策の成否なのだ。この時点で「PCR検査を増やすと医療崩壊が起こる」と言っては検査潰しをしてきた「検査スンナ派」が国際情勢に疎いことが露呈した。木村もりよ氏などが、それにあたる。「PCR検査を増やせ」と提唱し続けてきた「検査シイヤ派」の東京都医師会や岡田晴恵氏、二木芳人氏とは対照的に「増やせば医療が崩壊する」との持論を展開していた神奈川県医師会は、なんの説明もなくコロナ特設ウェブサイトを削除している。

 重症患者を受け入れる集中治療室(ICU)勤務医が補足する。

「『コロナウイルスはどこにでもあるウイルス』などと言っている専門家(徳島大学・大橋眞名誉教授、京都大学・上久保靖彦特定教授)も信用ならない。国際社会でそんな詭弁は通用しないからです。事実、感染対策より経済対策を優先しているスウェーデンとブラジルは大苦戦しています」

 国内経済は回せても、国外活動が制限されるためだ。大学病院の看護師長は、

「4カ月以上に及ぶ自粛生活と新型ウイルスへの恐怖心で、もともと精神疾患を抱える人、ストレスや環境の変化に耐えられない人は自分に都合のいい解説だけを信じる傾向にある。これが怖いのです。そういう人は無防備になり、大量のウイルスを吸い込むリスクが高い。マスクもソーシャルディスタンスも不要‥‥そんな発言を繰り返すコロナ専門家は、患者の心理がまったくわかっていない」

 結果、こんな嘆きも。

「まさかコロナ治療の最大の敵が大学教授や同業者で、彼らに背後から撃たれるとは思ってもいませんでした」(ICU勤務医)

 となれば「マスク&距離2メートル不要」を説く宮沢孝幸氏などは、酷評対象となろう。

 政府が主張する「医療現場は逼迫していない」というのもウソだという。山口芳裕氏などはハッキリとそう指摘し、政府を批判している。コロナ患者を受け入れている都内の病院長も同意して、

「確かに現時点では重症患者向けのベッドは空いています。人工肺も都内で数台しか回っていません。新型コロナの死亡率は今のところ1%とインフルエンザと比べても低いのですが、5日で新規感染者が1000人増えているということは単純計算でも10人の死亡者とそれ以上の重症者が出るという計算です。今のペースで感染者が増えれば、都内の集中治療室が1、2日で埋まってもおかしくありません。東京都医師会や治療にあたる現場が恐れているのは、その最悪の事態なのです」

 そうなると、人工肺を先につけた者勝ち。先端医療機器の数に限りがある以上、若くて持病がないといっても、ひとたび重症化すれば、満足な治療が受けられる保障も命が助かる保障も、どこにもないのだ。 

 特に「GoToキャンペーン」をあおった7月下旬の4連休明けから、都内に集中していた感染者が全国的な広がりをみせている。尾身茂氏や堀賢氏などはGoTo慎重論を展開していたのだが、ベッドが足りなくなるのは都内より地方が先かもしれない。産業医は、

「GoToも有識者会議で尾身さんが延期を提案したものの、その意見はかき消され、専門家のお墨付きを得たと、まったく逆の政府発表がなされました。有識者会議のメンバーがそれでも辞めないのは、自分たちが辞めたら安倍内閣の暴走を止める人間がいなくなるとわかっているから。尾身さんはかつてSARS対策で、中国への強硬姿勢を緩めなかった。尾身さんたちが去れば、親中派議員が中国・韓国からの観光客を入国させるでしょう。タダでコロナ治療を受けさせろと海外からコロナ患者が殺到し、日本の医療は再生不可能な域にまで崩壊します」

 治療に追われる感染症専門医は、こう吐き捨てた。

「命がけでコロナと戦う我々が同業者や政治家に足を引っ張られている間にも、重症患者は増えているのです」

★テレビでよく見る専門家12 人を三ツ星判定★

<岡田晴恵 白鴎大学教授/感染症学・公衆衛生学 信用度:星2.5>

主な発言:大きなPCR検査をして感染者と非感染者を分けて、接触させない。そして、非感染者で経済を回しましょう。

信用度論評:2月の時点では暴論でしたが、やはり日本はPCR検査件数が少ない。都内も医療機関や大学と連携して件数を増やしていきます。(産業医)

<尾身茂 地域医療機能推進機構理事長/感染症 信用度:星3>

主な発言:単に感染者の数だけでなく、医療体制が逼迫し(新型コロナ以外の)普通の医療に影響する予兆が少しでもあれば、第2波に近づく。

信用度論評:尾身氏のGoTo先送り提案を却下した政府に対し、共産党の高橋千鶴子議員が「その後の感染状況から、専門家の言うとおり」と批判。

<木村もりよ 元厚生労働省医系技官/感染症疫学 信用度:星1.5>

主な発言:PCR検査をして隔離するという訳のわからない理論が成り立ってしまった。感染症はある程度かかって終息する以外にないんです。

信用度論評:一般論としては正論ですが、今の感染速度では都内病院は崩壊し重症者、死者が増えます。PCR検査件数を増やす必要がある。(産業医)

<小林寅てつ 東邦大学教授/感染制御学 信用度:星2>

主な発言:マスクにウイルスを防ぐ効果があるかといえば、ない。症状がない人が躍起になってマスクを探すことはありません。

信用度論評:飛沫を飛ばさないことが他者への感染予防になります。症状のない若者が今の惨事を招きました。(感染症専門医)

<寺嶋毅 東京歯科大学教授/呼吸器内科 信用度:星3>

主な発言:入院時はあまり重くなくても、1週間、10日目ぐらいに重症化する若い人もいます。感染者のピークより、重症者のピークが遅れてきます。

信用度論評:今、都内の医療機関が恐れていることを代弁している。最大の懸念は1日300人ずつ増えていく軽症患者が重症化することです。(ICU医)

<二木芳人 昭和大学客員教授/感染症学 信用度:星3>

主な発言:今の日本のPCR検査数はあまりにも少なすぎます。やはりニューヨークのように「いつでも誰でも何度でも」でなければいけません。

信用度論評:PCR検査を受けていない無症状の若者が、感染を拡大している状況です。彼らを捕捉しないと感染は拡大する一方です。(産業医)

<西浦博 北海道大学教授/感染症理論疫学 信用度:星0.5>

主な発言:人と人との接触を8割減らすなど外出制限の対策を何もとらなければ、85万人が重篤な状態となり、42万人が死亡する可能性があります。

信用度論評:数理モデルにはウイルスの毒性を加味する必要があるのですが、西浦モデルにはこの毒性が加味されず、経済停滞を起こしました。(医学部教授)

<堀賢 順天堂大学教授/感染制御学 信用度:星3>

主な発言:同じ経済圏で動くことはある程度、容認できるけれど、はやっている地域からはやっていない地域に行くのは控えたほうがいいです。

信用度論評:GoToキャンペーンが感染を拡大させました。4連休後、旅行客が感染源となったクラスターが全国で発生しています。(感染症専門医)

<松本哲哉 国際医療福祉大学教授/感染症学 信用度:星3>

主な発言:そこに1人でも患者がいれば、無症状でも(感染を)広げます。これから職場内感染を絶対に起こさない職場はたぶんないと思う。

信用度論評:新型コロナがやっかいなのは、無症状キャリアが感染を拡大させること。企業も施設も店舗も、それを前提にした感染対策が必要です。(感染症専門医)

<三鴨廣繁 愛知医科大学教授/感染症学 信用度:星2>

主な発言:(プロ野球の観客入れが)5000人であれば6〜8席に1人程度。十分な対策をとっていますし、現時点では影響はありません。

信用度論評:経済を回していくことも必要です。ただし、今は5000人からさらに入場者数を増やすのは適切ではありません。(感染症専門医)

<宮沢孝幸 京都大学准教授/ウイルス学 信用度:星0>

主な発言:マスクをしていれば、あるいはマスクをしていなくても、黙っていれば問題ない。ソーシャルディスタンスは必要ないんです。

信用度論評:この方は臨床を知らない。患者心理がわかっていない。一部の自称専門家の発言が感染を拡大させています。(産業医)

<山口芳裕 杏林大学主任教授/救急医学 信用度:星2.5>

主な発言:国のリーダーが使っている「東京では医療体制が逼迫していない」は誤り。ベッドが確保されている=患者を入院させられる、ではない。

信用度論評:都内の人工肺稼働率は1床から2床で推移しています。逼迫はしていませんが、マンパワーが足りないという指摘はそのとおり。(ICU医)

※文中一部敬称略

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