空き家問題解決へ注目の資格「古民家鑑定士」は“鑑定料”でいくら稼げる?

 13.6%。この数字が何を意味するかわかりますか。これは2018年の日本の空き家率(総務省調べ)で、8軒のうち少なくとも1軒が空き家ということになります。特に老朽化した空き家は、ゴミの不法投棄や地域の治安悪化を招くとあって、大きな社会問題となっています。

 この問題は人口の高齢化と密接に関係しており、高齢者の方が介護施設や子供宅に転居することで、住む人がいなくなってしまうのが要因。家を売却しようとしても買い手が見つからなかったり、解体にかかる費用を工面できなかったりと、さまざまな理由で空き家の放置を招く結果に‥‥。それでも固定資産税は払い続けなければならない。こうしたジレンマを抱えている人は少なくないようです。

 そんな空き家問題に少しでも関心がある人におすすめしたい資格が「古民家鑑定士」。築50年以上の古民家を鑑定し、古きよき趣を残しつつ、再活用するための知識やプレゼン能力を得られる資格です。

 それでは例題を見てみましょう。

〈問1〉伝統的な工法で作られた古民家のメリットとして、以下のうち不適切なものを選んでください。【1】自然素材を使用しているため人体に安心、【2】地震の力を上手に逃がす免震的役割がある、【3】気密性や断熱性が高いため冬も暖かい、【4】開放的な間取りのため家族や来訪者と団欒しやすい

〈問2〉コンクリートなどがなかった時代に地面を固める方法として使われ、風化した花崗岩や安山岩などに石灰と水を加えて硬化させた土のことを【1】敲き土、【2】風化土、【3】花山土、【4】石灰土のうち何と言う?

 実際の問題はマークシート方式による二者択一。試験は全国各地の都道府県で実施されており、例題の答えは〈問1〉が【3】、〈問2〉が【1】となっています。

 この資格を取得して、空き家となった古民家に付加価値をつけるビジネスを展開してはいかがでしょうか。

 売りに出されている古民家はいたるところにあるので、古風な趣を残したままおしゃれに改装して売りに出してもいいですし、みずから民泊施設やシェアハウスを営むのもいいでしょう。

 あるいは、古民家鑑定士として「実家の空き家をどうしようか悩んでいる」という人の相談に乗って、再活用法を提案するコンサルタントも一定の需要が見込めるはず。

 古民家の耐震性や使われた古材のコンディションなどを見極める古民家鑑定の料金はひとつの建物につき3万円から10万円と言われています。この鑑定だけでも副業として十分に成立しそうですが、「この物件と立地を考慮してカフェにしましょう」「自然に囲まれているので宿泊施設にしては?」などと提案すれば、空き家問題の解決にとどまらず、町おこしに貢献できるかもしれません。

 空き家に人が集まり、関わった全員が「win – win」の関係になれることを願っています。

儲かる指数:87

鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は約700。

マネー