安倍政権vs小池都知事「GoToバトル」の舞台裏「都民感染500人まで想定内だった」

 政府が緊急事態宣言を解除したのが5月25日。東京都の休業要請が全面解除されたのは6月19日のことだった。その後、コロナ感染者が激増しているのは周知のとおり。しかし、メディアがどれだけ騒ぎ立てても安倍政権は動じない。なんでも、全ては想定内だというのである。

 東京都の感染者は7月9日から4日連続で200人超え。17日には過去最高の290人超えを記録した(7月17日現在、以下同)。小池百合子都知事(68)は警戒レベルを最高水準に引き上げる見解を示し、23日から始まる4連休を前に、都民に対して「不要不急」の外出を控えるよう訴えた。

 東京に次ぐ感染者数を示す大阪府でも16日には解除後最多の66人に上り、吉村洋文知事(45)も感染拡大防止策の徹底を訴えた。当然ながら、全国総数も右肩上がりとなっている。

 連日の報道では、新たな対策、道筋を国が示してくれないものかと嘆きの声が出るばかりだ。それでも安倍晋三総理(65)は、22日開始予定の旅行需要喚起策「Go To トラベル」キャンペーンの強行を宣言するや、すぐに手のひら返しで「東京発着を除外」と転換してドタバタしている印象を与えた。

 しかし実は楽観的で、政府内では現在の感染拡大状況を冷静に見ている向きがあるというのだ。

「これまでも接客を伴う『夜の街』の店舗がやり玉に挙げられてきましたが、感染経路を追うと、ホストクラブやナイト系クラブが多かったのは事実です。現在、営業許可と引き換えに、全国の保健所がしらみつぶしに同業種に対してPCR検査実施をしています。クラスターが疑われる場所で徹底的に検査を行えば、感染者数が上がるのも当然でしょう」(政府関係者)

 発覚している数が尋常ではないように思えるが、政府の見立ては異なるという。この政府関係者が続ける。

「保菌者でも多くが無症状だった若いホストやクラブ嬢からは、基本的に重篤患者や死亡者が出ていません。入院にまで至らないケースが多く、医療崩壊も起きないのです。検査を続けているので、8月上旬までは1日の感染者数がピークの状態となりますが、以後はその数も下降していくでしょう。医学会と連携して、厚労省が統計学で分析しています」

 政府に近い医療関係者も、この楽観論に同調して補足する。

「多くの外国と違って医療保険制度が手厚い日本では、コロナ感染による死亡者が7月半ばで1000人に満たないのです。今年の交通事故での死亡者が5月までで1155人ということを考えれば、いかに少ない数字かわかるでしょう。まして感染者拡大をあおる報道によって、感染すれば重篤化するような高齢者たちが若者に近づかなくなりました。政府もそのことは把握しています。都内の感染者数が200人を超えたと騒いでいますが、政府としては500人超えも想定内です」

 さらには、ホストクラブといった“夜の店”狙い撃ちも全ては現政権の思惑どおりだと続けるのだ。

「政府がやり玉に挙げ、半ば自粛するように追い込んでいます。店が自粛しなくても、利用者が自粛して減れば廃業もやむをえない。そんなホストやナイトクラブ潰しの構図を作ったのは、税務状況を把握できないホストやクラブ嬢を問題視してきた財務省の意向だというのです。結果的にコロナ患者を減らす形にはなりますが‥‥」

 そして安倍政権にとって最大の思惑は、コロナ禍の選挙利用である。

「安倍総理が秋の解散総選挙を現実的にするためには、その時までにコロナがある程度収まっていないといけません。そのために感染者の数字を一時的に上げておけば、下げた時にはコロナ対策に成功した政権として選挙に向かえる。9~10月にはマスクを外した生活になることまで想定しています。側近によると、安倍総理は支持率が低下しても一切気にする様子がないそうで、すでに10月25日投開票で動いているといいます」(自民党関係者)

 コロナが終息する分には結構だが、お気楽ムードがボロを出さないことを祈るばかりである。

ライフ