7月13日に公開された大手化粧品会社カネボウの新CMが大きな波紋を呼んでいる。公開された新CMは「生きるために、化粧をする。」と題され、CM映像内でもデカデカとその文字が掲げられている。さらに映像の説明には「化粧なんて何のためにするのだろう、と言う人がいる。化粧で喉は潤せないし、お腹だって満たせない。それでも、化粧は生きるために必要だと思う。美しさの先に、生命力を。日常の中に、想像力を。」とポエムが添えられ、「世界に不安が渦巻く今だからこそ、『生きる』ことと化粧の関係性を問い直す、KANEBOのブランドムービーです。」と記されている。
「生きるために、化粧をする。」というキャッチコピーに対し、「生きるために化粧って必要なの?男性や子供はしなくても生きているのに?」「社会全体で女性は『綺麗であれ』『化粧をしろ』『美しくないとだめ』という風潮があるのを後押ししているようで不快」「いくらマスク習慣で化粧品が売れないからって、女性は化粧をしないと社会的に死にますと脅してまで販売促進していいんですか」と違和感を吐き出す女性がネット上で続出。Twitterでは「#kaneboの新CMに抗議します」というハッシュタグまで作られ批判が相次いでいる。
女性たちは日々、何のために化粧をしているのだろうかと消費者たちに訴えかける内容のキャッチコピーがここまで大炎上してしまったのには、「化粧はマナー」という社会の風潮に一部の女性が辟易してしまっていることが背景にあるという。
「最近では女学生が就職活動を始める第一歩として『就活メイク講座』を受けたり、サロンでプロに就活用ヘアメイクをしてもらうのも当たり前となってきています。外見の与える印象の良さを強みに、加点的な意味合いで“ウケるメイク”をすることが、もはや当たり前になってくると、社会的なマナーとして強いられているといえる状況まできています。『自分をよりよく見せるためにメイクをする』が、『メイクをしないとマナー違反になる』という捉え方に変わってきたのかもしれません。現代社会の中で毎日化粧を強いられていると感じている女性は割合多く、昨今ではそういった不満を社会に知ってほしいという運動があるほどです。そういった情勢を鑑みると、女性がメイクをするのは『生きるため』だというキャッチコピーはターゲットである女性たちから反発を食らうのも納得です」(経済誌ライター)
化粧品はいつの時代も使う人の人生を彩り、楽しいものにするツールのひとつであってほしいものだ。
(浜野ふみ)
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