あおり運転厳罰化で“ドラレコモンスター”急増!「あおらせ屋」の狡猾手口

 新たに「あおり運転(妨害運転)」に対する罰則を盛り込んだ改正道路交通法が6月30日に施行されたことで、日本の“ドライバー事情”に大きな変化をもたらした。

「これまでの道交法には、あおり運転自体を取り締まる規定がなく、摘発するためには『車間距離不保持』『急ブレーキ禁止違反』、あるいは刑法の暴行罪などが適用されてきました。しかし、今回の法改正により、あおり運転そのものを直接取り締まることができるようになり、罰則は、『3年以下の懲役または50万円以下の罰金』、違反点数も酒気帯び運転同様の25点で免許は一発取り消し(欠格期間2年)となりました。さらに高速道路上で相手車両を停車させるなど、著しい危険を生じさせた場合は『5年以下の懲役または100万円以下の罰金』となり、違反点数は35点で、当然免許も取り消し(欠格期間3年)と、非常に大きなペナルティが科されることになったというわけです」(交通ジャーナリスト)

 ところが、法律の改正にともない、最近では、わざと低速で走り嫌がらせをする、いわゆる「逆あおり運転」なるものが横行してるというのだ。

「ドラレコというと、前方に設置するもの、と思われがちですが、最近は後方にもドラレコをつけるドライバーが増えました。で、そんな車が追い越し車線をのろのろと走り続ける。けれど、後続車はカメラを向けられているため、どうすることも出来ず、結局後続車が連なるような形で渋滞が起きてしまうケースがあるんです。ただ、困ったことに、追い越し車線でノロノロ運転している当の本人は『安全運転をして何が悪い』とまったく悪気がない。あおり運転の厳罰化が決まって以降、この手のドライバーが急増しているそうです」(前出・ジャーナリスト)

 さらには、意図的にドラレコを悪用する「悪質ドラレコモンスター」も存在するというのだ。

「彼らは追い越し車線をゆっくり走るなどして、自らがあおられる立場となり、その様子を動画に撮り共有サイトに投稿する、いわゆる『あおられ屋』と呼ばれている輩です。動画サイトやSNSには、連日のように悪質な運転動画がアップされていますが、この種の動画のなかには、正直、『わざとあおらせているな』と思われるもの少なくありません。そういう動画に限って、相手があおっている部分だけを都合よく編集して、前後をカットしてある場合が多い。これは、相手を怒らせて録画してさらすことを目的にした”愉快犯”なのですが、今後は動画をネタに金を脅し取るというケースも考えられます。ここまでくると”愉快犯”どころではなく、立派な犯罪。ドラレコ装着車が増えたことで運転マナーに関する意識が変化したことはいい事なのですが、逆に、今まで考えられなかった新たなトラブルが浮上する可能性も大きいですね」(前出・ジャーナリスト)

 こうした悪質な「あおらせ屋」に遭遇した場合も、あおり運転対策と同様、極力相手にせず、『いかにうまく抜いて、走り去るか』を考えることがベスト。

 交通事故で、自分に過失がないことを証明するためにも、ドライブレコーダーは有効だが、「あおり運転の加害者に仕立て上げられたら」と不安や恐怖を感じながら、日々の運転をする羽目になろうとは……。いやはや、面倒な時代になったものだ。

(灯倫太郎)

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