6月30日から、いよいよ改正道交法が施行されることになった。この改正により、酒酔いや信号無視、遮断機の下りた踏切の立ち入りなど、これまで危険行為の対象とされた14の項目に「あおり運転」が加わり、3年間で2回摘発される(14歳以上)と、安全講習が義務となり、受講しないと5万円以下の罰金が科せられることになった。
「これまでの自転車による違反は現場の警察官の判断で、よほど悪質でない限り、大半が指導や警告にとどまることが多かった。しかし、今回の改正で逮捕や書類送検、起訴や裁判を経て、懲役刑や罰金などの刑事罰を受ける可能性も出てきたということです」(交通ジャーナリスト)
よくあるのが、信号が変わる瞬間、猛スピードで交差点に突っ込み、横断歩道を渡っていた歩行者に接触、という事故だが、こういった場合は、どのような罪になるのだろうか。
「相手が怪我をした場合は、重過失傷害罪。亡くなった場合は、重過失致死罪の容疑で書類送検され、法定刑は懲役では5年以下。自動車の場合は自賠責保険の加入が義務付けられ、任意保険にも加入していますが、自転車の場合は多くが無保険なため、後遺症が残る事故や死亡事故になると損害賠償額が加害者の支払い能力を超え、結局、被害者がやられ損になってしまうケースが圧倒的。最近は自転車保険や個人賠償責任保険への加入している方も増えてはいるものの、まだまだ少数。つまり、自転車を運転するということは、本来それだけ自身もリスクをはらんでいるということなんです」(前出・ジャーナリスト)
ところが、昨今はウーバーイーツ配達員による「危険運転」が横行し、一般のドライバーからも苦情が殺到。接触や衝突事故も多発しているという。そんな背景もあり、この改正道交法施行で警察による取り締まりが強化されることは必至だが前出のジャーナリストいわく、「警察がもっとも重点的に取り締まるポイントが踏切」なのだという。
「実は昨年からネズミ捕りのように、警報が鳴っても踏切を横断する自転車を危険走行で取り締まってきました。ながら運転など他の違反と違って、取り締まりを受けた側も、踏切を渡ったところで声をかけられると違反を認めやすいということもあって、絶好の取り締まりポイントとなっています」(前出・ジャーナリスト)
実際に取り締まりを受けたという40代男性によれば、「遮断機が下がりきるギリギリのタイミングで踏切を渡ったところ、警察官に“事情聴取”され、赤キップを切られました。自動車と違って、青キップはないようです。違反キップにサインしてその場は解放されましたが、およそ1週間後に裁判所から出頭通知書(写真)が届きました。もちろん、行きましたよ。赤キップということもあって、ウン万円の罰金が徴収されるのかと思いきや、実際に出頭すると、1回目だったということもあって、検察官による口頭の注意で済みました。以降、踏切の横断にはかなり気をつけています」とのこと。
もちろん、自転車も軽車両である以上、違反すれば処罰の対象になるのは当然のこと。
「新たな危険行為の項目も加わり、警察としてもやる気満々であることは間違いない。ただ、自転車の数は自動車と桁違いなため、警察官だけで取り締まりしていたらキリがない。そこで、一部には交通監視員をみなし公務員として組織を作ればいい、といった意見もあり、将来的にはより大がかりなマンパワーでの取り締まりが実現する可能性もある。そうなれば、自転車による危険運転が野放しになっていた時代は終わりを告げるでしょうね」(前出・ジャーナリスト)
なるほど、“暴走自転車”が一網打尽になる日も近い!?
(灯倫太郎)