累計8000万部(電子版含む)の大ヒットマンガ「鬼滅の刃」を発行する集英社が、同作品に登場する羽織のデザインを商標出願していたことが分かった。6月24日付で出願されたもので、主人公の竈門炭治郎が身に着けている黒と緑の市松模様や、胡蝶しのぶの特徴となっている蝶の羽の柄など全6種類が対象となっている。
この商標出願を巡って同作品のファンの間ではこんな心配が取りざたされているというのだ。
「Nintendo Switch向けの人気ゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』(あつ森)では、“マイデザイン”という機能を使ってオリジナルのゲーム内衣装や旗を作成できます。その際にこれらの柄を再現することについて、懸念する声があがっているようです。商標指定されても“私的使用”なら対象外になるはずですが、あつ森ではネット経由で他のプレーヤーと交流もできますので、そこが心配されているようですね」(ネット系ライター)
あつ森では「鬼滅の刃」に限らず、さまざまな人気マンガやアニメに登場する衣装の作成を楽しんでいるプレーヤーが少なくない。作成した“マイデザイン”は他のユーザーに配布することもできるため、好きなキャラの衣装を自分のアバターに着せたプレーヤーが集まり、マルチプレーで披露しあうという楽しみ方も一般的だ。
だが、「鬼滅の刃」の人気柄が商標登録された暁には、それらの衣装を作成したり配布することができなくなってしまうのではないかと、心配になるのも無理のないことだろう。
「商標登録の対象はあくまで商品やサービスであり、『あつ森』内の衣装のデザインは対象にならない可能性が高いでしょう。『鬼滅の刃』の衣装を作るのは同人サークルなどにおいて、仮装用の衣装を作るのと同じことと言えるので、私的に仮装を楽しむ場合と同じように著作権者から黙認されていると言えそうです。おそらく、集英社が看過できなかったのは、フリマアプリなどで横行するハンドメイド品の販売。人気柄の布を使った衣装や手提げなどを『鬼退治グッズ』と称して、あたかも“鬼滅グッズ”であるかのように販売する動きが見られました。商標登録されたデザインを利用して、対価を得てはいけないということは言うまでもありません」(週刊誌記者)
イベント用の衣装を自作したり、無償で作ってあげることは黙認されていても、その衣装を勝手に販売することはできないもの。「あつ森」においても現実世界と同じ基準が適用されていると考えるのが良さそうだ。
(北野大知)