《川崎市は、全ての市民が不当な差別を受けることなく、個人として尊重され、生き生きと暮らすことができる人権尊重のまちづくりを推進していくため、この条例を制定する》
これは、7月1日に神奈川県川崎市で施行された「差別のない人権尊重のまちづくり条例」の一文。この条例が施行されたことによって、同市内では公共の場でヘイトスピーチを行った場合、最高50万円の罰金が科せられることになった。
差別を禁じる条例と聞くと、説得力のある内容に思えるが、意外にも一部世論からは批判の声も上がっているという。
昨今、日本と韓国との政府間では慰安婦や徴用工などの問題で、対立が表面化しており、こうした日韓関係悪化の影響もあって、両国では抗議デモ活動が活発化していたという背景もある。そうした中、川崎市で条例が施行され、同じく神奈川県相模原市も同様の条例制定に向けて動き出していることもあって、保守系活動家の一人はこう憤りを露わにする。
「この条例がおかしいのは、日本以外の国や地域の出身者に対するヘイトスピーチを禁止しておきながら、日本人を貶めるようなヘイトスピーチを行なっても罰せられないことです。そもそも僕らは、反日団体が日本人を侮辱することに憤りを感じているからデモをやっているわけで、まずは彼らのヘイトをやめさせることが先だと思います。日本だけが一方的に、『日本人は土下座しろ!』などとヘイトを受け続けることになりかねないこの条例は、明らかに“日本人差別”。もしも川崎市で反日デモに出くわしたら、私たちはじっと我慢するしかないということでしょう」
ネット上でも「日本人に対してヘイトスピーチしても罰則対象にならないのはおかしい」といった不満が噴出している。一方で、左派系活動家はこう反論する。
「まず誤解されやすい点として、韓国で行われているデモでは、日本のように『××人を国から追い出せ!』『祖国に帰れ』といった差別的なプラカードが掲げられることは滅多にありません。それは日本のネットニュースなどを少し調べればわかることですが、日本の一部のレイシスト達は、そういう差別主義的な発言ばかりしていると勘違いしているのかもしれません。おそらくは過去に中国で起きた反日デモと混同しているのと、コラージュ加工されたデマ画像を鵜呑みにしてしまっているのでしょう。明らかに日本のレイシスト達の人種差別は世界的に類を見ないほど酷いものですし、それを野放しにしていた行政の姿勢にも疑問を感じずにはいられませんでした。そもそもヘイトスピーチとは、社会的少数派を貶めるもので、日本で多数派である日本人へのヘイトスピーチなどは存在しないというのが共通認識です」
川崎市に限らず、不当な差別を社会から根絶することを願ってやまない。
(道明寺さとし)