映画館の危機を救ったジブリ作品、興行収入“トップ3独占”の原動力とは?

 国内映画の全国週末興行収入ランキングが発表され、その異例とも言える結果がネット上で話題となっている。映画館は、新型コロナウイルス感染拡大予防のため、一席ずつ間隔を確保してチケットを販売するなど万全な対策を取った。それでも、シアターへの来場をためらっていたような映画ファンの背中を押したのは、数々の名作だった

 6月27日・28日の興行収入ランキングは、第一位に「千と千尋の神隠し」、第二位に「もののけ姫」、第三位には「風の谷のナウシカ」と、スタジオジブリの過去の上映作品がトップ3を独占する結果になった。現在「一生に一度は、映画館でジブリを。」というコンセプトのもと、全国374館でスタジオジブリ作品を再上映している。上位独占の発表にネット上では《新作映画も公開されている中で旧作が独占するなんて集計とか発表の間違い?》《これほんとに先週のランキングなの!? 20年以上前の作品がトップ3独占だなんてジブリ強すぎ。さすが!》と、過去タイトルの上位独占に驚く人々のコメントがあがった。通常、旧作はランキング対象外であるが、今回は協議の上で旧作である上記作品も集計、発表されたという異例のケースであったことも全国の映画ファンを驚かせた。

 ジブリ作品目当てに映画館に足を運んでいるのは、当時を懐かしむジブリ世代だけではない。公開時には生まれていなかった若者たちも映画館でのジブリ鑑賞に大きな関心を示しているという。

「今回上位を占めた3作品は、地上波でもたびたび公開されている有名な作品のため、公開当時、劇場で視聴していない若者世代でも一度は観たことがあったり、物語のあらすじを知っているという人が多いです。みんなが知っている作品だからこそ、大画面で見た感動や興奮を人に伝えやすいのか、『あのシーン、劇場だとよりすごい』といった、鑑賞した人の口コミがSNSで広まり、『Twitterで話題になっていたから』という理由で劇場に足を運ぶ人も少なくないです。『ジブリの名作の上映ポスターがずらっと並んでいる』と館内のポスターの写真を撮影し、SNSに載せるなど、リバイバル上映を楽しむ若者たちの姿が見受けられます。」(劇場関係者)

 公開が予定されていた新作映画が軒並み延期になるなど、新型コロナウイルスの影響が大きいとされる映画業界で「大画面で鑑賞することの面白さ」を再認識させてくれたジブリ作品の数々が、全国の映画館の“救世主”となっている。

(浜野ふみ)

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