厚労省がこっそり追加配布!余ったアベノマスク「善意の寄付」が法律違反!?

 全国でアベノマスクを寄付する動きが広がるなか、ちょっとした騒動が起こっている——。

 都内で居酒屋を経営するA氏(55歳)のもとに、突然二人の警察官が訪ねてきたのは、6月中旬のこと。A氏が困惑した表情でこう語る。

「6月に入ったころ、常連さんから『ようやくアベノマスクが届いたんだけどさ、いまさらもらっても仕方がないから店で使ってよ』って言われてね。なら、いっそのこと、不要なアベノマスクを集めて、マスクが足りない施設に寄付したらいいんじゃないか、という話になって、マスクと引き換えに500円の金券を渡すことにしたんですよ」

 すると、噂が口コミで広がって、すぐに150枚ほどのマスクが集まり、7月には地元の小学校と福祉施設に寄付することになった。

「ところが、警察の人が来て言うには、中古品を買い取って転売するためには、法律で古物商の届け出が義務づけられている。だから、金券とマスクを交換することは、金品の交換になるので、違法行為になる可能性がある、と……そんなこと全然知らなかったからね、いや〜まいったなぁ〜と……」(A氏)

 中古品等の古物には、犯罪被害品が含まれる可能性があることから、その流通を防止するため、その売買は「古物営業法」という法律で規制されている。つまり、一度配布されたマスクは「中古」扱いなので、金券と交換すれば「古物営業法違反」に抵触する可能性があるというのである。

 驚いたA氏は、即刻マスク集めを中止。常連客らに「お詫び」の連絡を入れ、さて、集めたマスクはどうしたらいいのか、と考えあぐねていたが、6月25日、再び警察から電話があったという。

「で、この間は違法行為になる可能性がある、と言いましたが、金券との交換は問題ない、と言うんだね。違法じゃないし、特別な許可もいらないと。店に来たときは、下手すれば捕まっちゃいますよ、くらいの勢いだったから、ほんと、失礼な話だよ」とA氏。

 実はA氏同様に、警察から指摘された関係者は多かったが、6月25日をもって、「問題なし」とのことで、統一されたようだ。

 そんなこともあり、現在はネット上には、いらなくなったアベノマスクの「寄付先、交換先リスト」がアップされており、

「酒類販売の大手チェーンでは、マスクを持参していただければ、ノンアルコールビール1本と引き換え、不足している児童教育機関へ寄付する、という取り組みもしていますし、函館市の朝市では市内の出店者らが、不要なアベノマスクを募り、同市場で使える500円分の商品券と引き換える取り組みがはじまっています。アベノマスクがダブついているのは事実ですから、こういった動きは今後も、日本全国で広がっていくのではないでしょうか」(全国紙社会部記者)

 だが、そんな動きをよそに、厚生労働省は「専用サイト」において、こっそりアベノマスクの再配布をスタートさせている。

「全国の約5千万世帯に配った布マスクは1枚200円ほどで、かかった経費は少なくとも200億円と言われていますからね。一事が万事、この場当たり的な政策には開いた口が塞がりませんよ」(前出・社会部記者)

 配布当初から「(ウイルスと)竹やりで戦うようなもの」と揶揄されてきたアベノマスク。その竹やりが、結果500円の金券に化けようとは……。ま、使わないならせめて有効活用できれば、ということか。

(灯倫太郎)

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