22億人。読者の皆さんはこの数字が何を示すかわかりますか。実はこの数字は、昨年にWHO(世界保健機関)が調査報告書で公表した世界の視覚障害者の人口です。
近年は日本でもバリアフリー化が進み、視覚に障害を持つ人でも公共施設や交通機関を円滑に利用できるようにと、いたるところで点字(突起した6つの点を指で触って読むための文字)を見る機会が増えたように思えます。
そこで今回、ご紹介するのが「ビジネス点字検定」。その名のとおり、点字を読む力をはかる検定です。
それでは例題を見てみましょう。
〈問1〉写真の点字(黒マル部分)は、ある平仮名一文字を表していますが、それは何でしょうか? 【1】い、【2】に、【3】ち、【4】へ
〈問2〉平仮名の前に数符と呼ばれる点字がくると、その後の文章は平仮名ではなく数字に変わるというルールがあります。では、写真の平仮名の前に数符を置くと、その数字は何になるでしょうか? 【1】0、【2】2、【3】5、【4】7
実際の試験問題も、このように指定された点字を読み解く内容で、例題の答えは〈問1〉が【1】、〈問2〉が【2】となっています。
検定のランクは、現時点で1級はなく、3級と2級のみ。受験料はそれぞれ4000円(3級)、6000円(2級)で、個人受験の試験開催地は東京会場のみとなっています。
3級は試験時間30分で出題数が50問、100点満点中70点以上が合格とあって、難易度的にはそれほど高くはありません。なぜなら、点字の仕組みはいたってシンプルで、基本となるパターンさえ頭に入れておけば、案外、スラスラと解けてしまうからです。しかし2級になると、同じ30分の試験時間で出題数が倍の100問に増えるうえ、合格ラインが100点満点中95点となり、難易度はグッと上がります。
私はなんとか2級に合格できましたが、終了時間ギリギリまで問題を解いていた記憶があります。しかも出題される問題もやっかいで、例えば点字で「カフェオ‥‥」と書かれていれば、最後まで読まずとも途中で「ああ、カフェオレ!」と答えてしまいそうになりますが、実は「カフェオ〝ラ〟」が正解だったりします。こうした実在しない単語が正解となる問題も出るので注意が必要です。
近年、点字を巡って、社会ではさまざまな技術や商品が開発されてきました。印刷された文字を点字に変換し、逆に点字から文字にする翻訳システムも普及し、今では名刺に点字が印字されていることも珍しくありません。
また、東京スカイツリーでは、手すりに点字を刻んで、読み進めると短編の物語になっているというイベントも開催されました。今後は、視覚障害者が社会参加できるだけでなく、「楽しめる」環境作りを進めることも大切だと思います。「新たな市場」を見据えて、まずは点字を学ぶことから始めてはいかがでしょうか。
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鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は約700