スーパーコンピューターの性能ランキングで日本の「富岳」が世界一になったことを受け、立憲民主党の蓮舫副代表は6月22日、共同通信社の取材に対し「文部科学省も理化学研究所も、前向きな改革に取り組んで来られた努力に敬意を表する」と文書で回答。続けて、旧民主党時代の事業仕分けでスパコン開発を巡り「2位じゃダメなんでしょうか」と発言したことについて感想を求められると「速度が世界一になったとしても、使い勝手が悪ければ使われない。スピードばかりにこだわる理由を問うた」と文書で釈明コメントを寄せた。
すると、このコメントに多くのネットユーザーが即反応を示し、SNS上は《今頃白々しい。実用機で世界一を取らんとすることの難しさと、技術者の努力を知っていたら絶対に出て来ない発言だった。よく臆面もなくコメントできるものだな》《二番では特許が取れませんよ。金をかけたら日本の技術が世界一を取れる事が再び証明されました》《「あの発言は間違いでした」と言うのかと思いきや、「今回の世界一は自分の指摘のおかげだ」ですか。もう…、呆れを通り越して寒気がしてきましたよ》といったシビアなコメントで溢れかえった。
「蓮舫氏が『2位じゃ〜』と発言した事業仕分けは2009年11月のことですが、この発言を受け一時予算の凍結が決定。しかし、これに異議を唱えたノーベル賞学者らが『1位を目指さなければ2位、3位にもなれない』と猛反発し、最終的にはゴーサインが出たことで、結果11年6月のスパコン性能ランキング世界一位という快挙を成し遂げることが出来た。研究者からしてみたら、何も知らない素人に予算が凍結され、これまでの研究が踏みにじられることは、屈辱以外の何物でもなかったはず。そう考えると、彼女の発言で科学者たちが奮起したというのはあながち間違いではないかもしれません」(ITジャーナリスト)
当時は、そんな蓮舫氏が厳しい口調で文部科学省の担当者らを”斬りつける”映像が連日テレビで流され、蓮舫氏自身も10年6月には「一番じゃなきゃダメですか?」(PHP)なるタイトルの著書まで発売。なんと、自身の発言をネタにしていたというのだから笑えない。
「この著書には『一部分を取り上げられることに対しても、自分自身の口から出た言葉ですから、私は否定しないし、言い訳もしません』とあるのですが、蓮舫氏は今回の共同通信への文書での回答が報道されると、翌23日にツイッターを更新。そこには《メディアが未だにコメントを、と言ってこられますが、中には議事録も読んでいない方もおられる》と指摘しているんですが、すなわちこれは『コメントの一部を取り上げるのではなく、全部読んでからにして!』と言っているようなもの。政治家は言葉が命。ましてや、自著に残しているコメントと実際やっていることとの整合性がつかないとなれば、言葉は悪いが二枚舌と言われてもしかたがないということです」(前出・ITジャーナリスト)
「2位じゃダメ……」発言から11年。それでも、なお、この日のリアルタイムツイートには「富岳」と「蓮舫」が仲良く上位にランキングすることを考えると、スパコン=蓮舫というイメージが根強い証拠。今後もスパコンの快挙が報じられるたびに、「蓮舫発言」が蒸し返されるのだろうか。
(灯倫太郎)